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I cry for you, Argentina(オランダも)

 先月半ばのアルゼンチン大統領選で、派手なパフォーマンスと突き抜けたマニフェストを掲げた極右のハビエル・ミレイ氏が勝利しました。この選挙はアメリカでも注目されていました。負けたセルヒオ・マサ候補は与党、祖国同盟のメンバー。経済が完全に破綻した今の惨状を引き起こした張本人です。底辺対決というか、最低な候補からどっちか選ばねばならないというタフな選択の結果、「アルゼンチンのトランプ」が次期大統領として選ばれました。長らく根付いていた「Don't cry for me, Argentina」なエビータさんの旦那、ペロンの敷いた左派体制への反発が、ミレイ氏の勝利につながったとの見方もあります。

 チェーンソーを振回し、側近はクローンの5匹のマスティフ犬という、とにかく人目を惹くショック療法的売り出し方と過激な発言、政治経験はなく、テレビタレントで顔は元々売れていたというのも、誰かさんを彷彿とさせます。曰く、「中央銀行を爆破する」、気候変動は「社会主義者の詐欺」で、通貨のペソを廃止してドルを公式通貨にする、とのココロは、破綻した自国経済を抜本的に変革するってことらしいけど、銃器自由化、堕胎権廃止、同性結婚反対、陰謀論追及…どっかで聞いたことのある内容です。

 そして、オランダの下院選挙でも、極右政党が第一党となって、「オランダのトランプ」と呼ばれるヘルト・ウィルダース党首が連立政権樹立を目指しています。昨年は、イタリアでも極右政党が第1党となってジョルジャ・メローニ党首が首相になっています。フランスでは極右のルペン候補を破って、現役マクロン大統領が続投していますが、これもかなりの激戦でした。

 お笑い種候補だったトランプが、あれよあれよという間に大統領になってしまった悲劇が繰り返される可能性、まさかのトランプ再選があり得るかもしれないという恐怖は幻想ではありません。アメリカという振子は、いつも大きく一方に振りきってしまいますが、リベラルへの反動で思いっきり保守に振れてトランプが選ばれ、いくらなんでも、これじゃダメだとのアメリカ国民の判断が穏健なバイデン大統領を選んだ。ところが、今、犯罪者トランプは共和党候補一強。

 アメリカでは、人工中絶禁止に執着する保守派への危機感から、先の選挙では民主党が議席を増やしましたが、表面では穏健派で女性の権利を尊重する常識人のふりをしていても、内心では中絶は絶対に許せない、LGBTQもブラック・ライブズ・マターも大嫌い、南米やアフリカからの移民は絶対来るな、な、思いの人が多いのだろうと思います。それにしても、派手なパフォーマンスのポピュラリストが権力を握り、人気取りの耳触りの良いでっちあげ政策になびくほどに、人類は幼稚化してしまったのでしょうか?

トランプは自分の政敵を害獣呼ばわり
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ペストは誰でしょうね

 それでも、国民が自分たちのリーダーを選べる、選ぶ選択肢があるだけ、まだマシなのかしら... まともな対抗者がいない安定政権に胡坐をかいた政治家が、国民の耳に甘言を囁く必要すらない、大多数の国民の希望する事案は棚上げ、非難にも聞く耳持たずなどっかの国に比べれば…



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怨嗟を断ち切ることは不可能なのか

 ロシアのウクライナ侵攻も1年を過ぎて旬が過ぎ、今に、未だ多くの民間人が犠牲になり続けているのに「そういや、まだやってたねー」なシリアの内戦のように隅にやられそうだし、スーダンでの武力衝突も注目されない中、ただ今、ガザに世界が絶賛注目中。ガザでの民間人の犠牲が伝えられるにつれ、パレスティナ擁護の声も高まり、さすがの国連も、ええ加減にせぇ!と言ってますが、ネタニヤフには馬耳東風。卑怯なハマスが民間人を人間の盾にしていると批判しても、お構いなしに攻撃してるんで盾になってない…

 そんな中で、世界各地でデモが多発していますが、なぜデモを反イスラエル、親イスラエルに分けてしまうのか、どちらも根本は反戦争、反暴力、子供たちや市民を守ろうというデモなんじゃないかと思います。頭が花畑だと言われれば、その通りで、自分でも否定できませんが、イスラエルとパレスティナ、どっちでも、両方とも子供たちを含む市民を、人間を護ることを最優先とし、イデオロギーも政治も関係なく、何でもいいから国際機関や政府は何とかしろ!という抗議ではないのでしょうか。外野の視点で今のニュースや意見を読んでいると、ハマスではなくパレスティナを支持すると、自動的に反ユダヤ主義(antisemitism)と見なしているような気がする。アメリカのマスコミは一方的にイスラエル擁護で、これも不自然。

 イスラエル批判者の殆ども、ハマスの所業が極悪非道なのは否定しないだろうし、ユダヤ人全体を批判しているわけではないと思う。これに対し、「結局、みんなユダヤ人が嫌いなんだ、その不満が噴出したのだ」と解釈するのは、選民思考の自己憐憫にすぎず、ユダヤ人迫害の歴史観が薄まってユダヤへの寛容さが失われたなどという主張は、かえって反感を呼ぶだけでしょう。

 ハマスの行動によって、長らく臭いものにはフタだった、イスラエルがパレスチナ人の土地を取上げて入植活動をし、弾圧を続けてきたことが白日の下に晒され、世界の注意を喚起した。いくらイスラエル側がプロパガンダをし、ガザの様子を隠そうとしても、イスラエルのハマスへの報復が、ハマスだけではなく全く関係ない民間人にも及んでいることが世界中に拡散されてしまった。

 私も、ユダヤ人であるということだけで迫害され、虐殺された理不尽に驚き、様々な書物や映画で胃を締付けられる思いをしました。「アンネの日記」に涙しました。でも、同様に、ユダヤ人であるということだけで他の民族を迫害してもいいわけはないでしょう。そんな当たり前のことが77年の長きに渡って国際社会の了解のもとで続いてきた。その事実が広まったことによるパレスティナ擁護であり、そのことに対する反発なのではないでしょうか。「反ユダヤ主義は邪悪」は、「ユダヤ人には寛容であるべきだ」という意味ではない。

 各国政府は及び腰ですが、パレスティナの地に安寧をもたらすことが出来るとすれば、イスラエルのパレスティナに対する迫害を止めるしかない。更に言えば、イスラム教徒の怒りを鎮め、テロをやめさせる第一歩となるのも、ガザへの無慈悲な攻撃が露わにしているムスリムへの迫害を止めること、異なる民族、価値観、宗教に寛容であることでしょう。パレスティナ擁護を意図的にか無意識化は分らないけど、短絡的に「シオニズム」と片付けて、罪悪感を抱かせようなんてやってるうちは、怨嗟の蟻地獄からは抜けられない。

 国際社会が声を上げて、この連鎖を止めなくちゃ、と思うし、抗議活動の声の高まりに実行力のある政府や国際機関が応えてくれればよいけれど、その声を受け止め、リードするエンティティがない。イギリスは三枚舌の落とし前を付ける力なんぞ無く、アメリカもグダグダ、国連も骨抜き、国際圧力なんて空気抜け。悲観的になってしまうので、お花畑脳にでもならないと、やってられん… 

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同じように考えている人がいるのは嬉しい


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その言葉は禁句

 この呪文を口にすると、問責決議案にかけられたり、解任されたり、辞任に追い込まれたりします。その言葉とは「川から海まで」。その由来は、アラファト議長下でパレスチナ解放機構 (PLO)が、ヨルダン川から地中海まで広がる単一国家の設立を求めたスローガンから。パレスティナの自治権と自由を訴えるこのスローガンが、ハマス支持主張であると解釈されて、イギリスでは労働党のマクドナルド議員は、この言葉を使ったことで除名処分になり、公職から解任されました。米議会唯一のパレスティナ系議員、タリーブ下院議員には問責決議が可決。

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 アメリカの大手弁護士事務所は連名でイスラエル批判を許した大学の卒業生は雇わないと表明し、同じ理由で、著名な富豪投資家や企業トップも、パレスティナに同情的で、イスラエルの責任を問う文書の署名した学生の氏名公表を求めたり。アメリカでも、若い世代を中心に、ガザの人々を救えと訴えるデモが広がっていますが、ニューヨーク知事が国連前でのパレスティナ支持デモを批判したり、物凄く一方的に変なことになってると私には思えます。

 そんな中、米国のユダヤ系の作家やジャーナリスト、編集者、アーティストらがイスラエル政府を批判し、「停戦」と「占領の終結」を求める公開書簡に署名しました。その全文(英語)、(A Dangerous Conflation: An open letter from Jewish writers(危険な混同:ユダヤ人著述家からのオープン・レター)の、延々と続く署名者のリストに驚かされます。私達、ユダヤ人の作家、芸術家、活動家は、イスラエルに対する批判は全て反ユダヤ的であるという論調を否定したいという強い論調で始まり、「イスラエルを批判する=反ユダヤ主義」が、パレスティナ主権を否定し、「イスラエルの責任や占領という致命的な現実を曖昧にしている」としています。もっともだ、と、多くが内心で頷くでょうが、それを表に出したら一斉放火が浴びせられる昨今の状況下、ユダヤ人自らが声を上げたことの意義は大きい。

 イスラエル国内ではネタニヤフ退任を求めるデモが広がっているそうです。こちらは、ハマスの急襲を許し、未だ危機下にある事への安全対策の不備への不満の噴出だそうですが、国内でも反発されているネタニヤフを批判したら、なぜか反ユダヤに結び付けられるのもおかしい。腫物状態で、不可触らしい。イスラエル批判を反ユダヤ主義とみなして非難するプロパガンダは、長年に渡って実に有効な戦術でした。

 時折しも、水晶の夜85周年記念だとかで、デジタル化された資料が大々的に宣伝(?)されている。オラオラ、お前ら、わしらがこんな可哀そうな目に遭ってるのに無視してたやろ!って、思い返させるのに一役、というのは被害妄想が過ぎるかもしれませんが、仕掛けたのはハマスの方が先だからと、パレスティナを爆撃し続け、一般人を屠り続けるイスラエルを批判できない世界状況は異常です。

 先の公開書簡は、「反ユダヤ主義の痛ましい歴史とユダヤ教の聖典の教訓があるからこそ、私たちはパレスチナ人の尊厳と主権を主張する」としています。これ以上の正論があるでしょうか?そして、個人的には、日本には、双方に危害を加えた過去もなし、加えられたこともない。キリスト教国でもイスラムでもないんだから、蚊帳の外にいてほしいって思ってる。原爆落とされて酷い目に遭ったから、俺んちも核持って近隣国を脅してやるぜ、ではなく、酷い目に遭ったからこそ、世界中の何処でも何人をも、その脅威に晒されるべきではないという立場を取ってきた日本です。その精神はとても尊い。変に一方に肩入れすべきじゃないし、口も出さんがええ。日本の外交関係の皆さん、難しい局面ですが巧く綱渡りを成功させてください。



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2023年アメリカ地方選挙

 アメリカでは毎年、11月の第一火曜日が投票日と決まっています。火曜日なのは、日曜に教会に行ってから、町まで投票の為に出かけて、到着するのが火曜日だからという昔ながらの伝統ですが、結果、平日に休めない労働者にはハードルが高い。ジョージア州の場合、投票時間は朝7時から夜7時までと幅は広いのですが、子供を送り出してから仕事に行って、帰ってきたら子供の面倒、とかって人には、微妙な時間帯ですよね。

 だから、郵便投票や期日前投票の制度があるのですが、郵便投票を理不尽に不正がしやすい(証拠なし)と騒ぐトランプと仲間たちを中心とする共和党勢力は、あの手この手で民主党支持者の多い労働者層の邪魔をしているのです。投票に行く権利は認められているとはいえ、時給で働いていたり、様々な事情で投票の為の数時間を休むことが出来ない人々の声は、ただでさえシステム的に阻害されているのに、それをさらに困難にすべく画策する共闘の多い事!

 日本では特に法律で決まっているわけじゃないけど、慣例的に日曜日が投票日で、4年に1度の統一地方選挙も4月の日曜と、勤め人が投票に行きやすく設定されています。アメリカには、日曜には休息日だから何もしないってキリスト教徒がいるから日曜は無理でしょうが、土曜日にするとか、投票率を上げたければいくらでも方法があると思うんですが… ま、日本は日曜日でも投票率の低いけど。

 オハイオでは、工場でも、頬らしげに「I voted」の小さなシールを襟や胸元に貼っている人が多かったけど、ここでは全く見かけなかったわ。ジョージア州の投票率は、一昨年前は低く、昨年はマシだったらしいけど、今年はどうなのかな?特に話題になるような候補や住民投票のトピックもなかったようですし。

  一方で、オハイオ州の妊娠中絶の権利保障を州憲法に明記するか否かを決める住民投票は、全米の注目を集めていましたが、事前予想の通り中絶擁護派が勝利。オハイオは州全体では保守派なのですが、この中絶の権利と、娯楽用マリワナの合法化が通りました。シンシナティの街角では、春ごろから中絶の権利を護る署名を募っていたり、市民の集いがあったりと動きも活発でしたし、喜んでいる(ホッとしている)でしょう。

Theweeks2023-11-10 105047
オハイオ、ケンタッキー、ヴァージニア州で民主党勝利
オハイオ象:中絶禁止の為に立候補しても勝てないよ。どうすりゃいいんだ
左の象:マリワナやれよ、今じゃ合法だ
(象は共和党のシンボル)

 ワシントンD.C.のお隣、ヴァージニア州では、州議会選挙は、民主党が上下両院で多数派を確保、やはり妊娠15週目以降の中絶をほぼ禁止しようとしていた知事に大きな痛手。ペンシルヴァニア州でも、州最高裁判所判事に、現役の共闘判事を破って、民主党の判事が選ばれました。

 昨年、連邦最高裁が妊娠中絶を憲法上の権利と認めた判決を覆し(これとかこの記事とか)、その後の2022年選挙でも、保守的な共和党州でさえ、人工妊娠中絶の権利擁護が大多数で勝利を収めました。共和党としては、信条として中絶は認めたくない、でもそうする限りは選挙に勝てない。苦しい所だと思いますが、昨今の共和党の迷走ぶり、害悪っぷりにほとほと呆れている私としては、はいはい、いつまでも中絶の権利反対にしがみついて、議席を失ったくださいな\(^o^)/ なんですけどwww



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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

 隣町の映画館に見に行きました。3時間26分。いくら配信用とはいっても、長すぎませんか…

 長いけど随分と評判が良いので、集中して観るために劇場で見ました。家で配信を観てると、絶対途中で気が抜けるし。同じスコセッシ監督の「アイリッシュマン」、210分なんて、ながら見しちゃって、結局、「で、なんだったっけ?」になっちゃったから。個人的な感想は、画像の後に。

 あらすじは、1920年代、オクラホマ州の荒地に追いやられた先住民、オセージ族は、そこから石油が出たことで、いきなりアメリカ1の大金持ちに。でも、石油利権による財産は白人の後見人が管理するという制度があって、お金を使うのに許可を得なきゃなんないし、白人側はあの手この手で着服するし。また、オセージ族と結婚したら、オセージ族でなくても受益権を相続できる。つまり、配偶者が死んだら、利権は自分のものになる。だます、脅す、殺す。でも警察は何もしません。蛮族なんぞ、なんぼ死んでも知ったこっちゃないんですね。19世紀と何ら変わっていない。

 街でその悪を仕切っているのが、オセージ族を温かく見守るふりをしながら、悪の所業を尽くす、「私のことはキングと呼んでくれ」な、ウィリアム・キング・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)です。ヘイルの甥が、第一次世界大戦から帰還したアーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)。初めは叔父に言われて、オセージ族の女性、モリー・カイル(リリー・グラッドストーン)に近付きますが、本当に深く彼女を愛し始め、子供も3人もうけました。モリーは糖尿病に罹っていましたが、そんな中でも、満足りた家族生活を送る一方で、彼女の姉妹や母、従兄が続々と不審な死を遂げて…

 ウィキペディアでの概略は:
 舞台は1920年代のオクラホマ州オーセージ。その土地の石油鉱業権を保持し、高い利益を得ていた先住民オーセージ族(英語版)が次々と謎の死を遂げる。元テキサス・レンジャーの特別捜査官トム・ホワイトは、後のFBIとなる捜査局と29歳のジョン・エドガー・フーヴァー長官の下、大規模な捜査を開始する。しかし、利権や人種差別が複雑に絡み合う事件に捜査は難航する。(ウィキペディア)ですが、これは、原作、「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」に忠実な、元々の捜査に重点を置いた、ディカプリオがトム・ホワイトを演じるはずだったFBI創設を語るプロットですよね。

 同ページによると、こういった作品は、「1960年代初頭以降、アメリカの映画製作者たちは西部劇の伝統的な要素に疑問を抱くようになり、西部劇映画は「ヒーロー対悪役」という善悪二元論からの脱却を目指し、登場人物が暴力的手段で物事の解決を図ることに観客が疑問を抱くような内容に変化していった。また、従来「野蛮人」として描写されていたネイティブ・アメリカンを積極的に題材にするようになった修正主義西部劇(Revisionist Western)」なんだって。昨今のポリコレの主流派。

 映画は、FBIから颯爽とやってきた捜査官が、原住民を食い物にする悪徳白人の罪を暴く勧善懲悪ものではなく、人間の底知れぬ欲望と恐ろしさ、差別、偏見、そして愚かさを描いています。

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原作は翻訳が早川から出ています。読みたい


  前振りが長かったけど、一言でいうと「重かった…」です。ありきたりな感想ですが、これが実話を基にしていることに驚き。アメリカ史には、まだまだ私の知らない闇が沢山ある。

 アーネストは、戦争の英雄が返ってきたと叔父に迎えられますが、実は炊事兵でした。それでも、兵士は食べなきゃならない、重要な役割だと煽てられて、すっかりご機嫌。ディカプリオ史上、初の意志薄弱男ですが、感情がモロ表情に出る男の役なので顔芸がすごいのに加え、撮影の光と影が、劇場の大きな画面で見た甲斐あったと思わせてくれました。一方のデ・ニーロは、穏やかで優し気な表情から、一瞬で眼付が変わって怖くなる十八番。そしてモリー役のリリー・グラッドストーン、佇まいが素晴らしい。

 愚鈍なアーネストは、叔父に煽てられるまま悪事に手を染めていきますが、元から金に汚い素行の悪い男だった。妻のモリーを愛しながらも、叔父に言われるままに毒を盛るのは、それが毒だと知っていて、お金に目がくらんだのか?自分もウイスキーに、その「大人しくさせる薬」を混ぜてグダグダになって、この薬を怪しいと思わなかったのか?単に自分も落着こうと飲んだのか?

 もし毒だと知っていたなら、愛する妻を殺そうとしているのだけど、アーネストは相当なアホなので、私には殺意があったのかどうか判らない。叔父に逆らえないから、褒めてもらいたいから?モリーとの会話で、あの注射の中身は何だったのと聞かれ、「インシュリン」と答える前に少し躊躇ったのは、毒だと知っていたからなのか?(この時のモリーの表情、ずしっと来る!)

 
 最初と最後に、スコセッシ監督が登場します。映画の始まる前に、監督としてもメッセージ、そしてラストシーン、事件はラジオ劇になり、その最後に、主要人物たちのその後を語るプロデューサー役として。ヘイルとアーネストは実刑を受けたものの、数年後に釈放されます。アーネストは仮釈放の間にコソ泥を働いて再び収監されるけど、その後また釈放され、自業自得で惨めな晩年を迎えますが、ヘイルは敬老院で93歳まで生きている。死因を偽装したり、毒を調達した医師も、悪事にがっちり加担していたアーネストの弟の不起訴。資産目当てで殺害されたオセージ族は20人以上から60人以上とはっきりしたことは分っていません。結局、正義なんて無い。

 そして、今のオセージ族は他の部族同様にカジノ経営権を持ち、この映画の舞台となったオクラホマ州オセージ郡に自治政府を有しています。原住民族の中では資産のある方かもしれないけど、かつての栄華はどこに消えたのでしょうね…



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sirowaniko

Author:sirowaniko
アメリカ生活も30年超え、NY、MA、DC、TX,CO、CA、OHを経て、今は南部のジョージアに犬猫と住んでいる普通のおばさん。蚊と蚤とトランプ一味以外の生き物が好き。

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