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好きな漫画家さんのこと

 「坂本ですが」、「ミギとダリ」で、独特のシュールな世界を描いた漫画家の佐野菜見さん急逝のニュース。まだ36歳、「ミギとダリ」のアニメが秋から放映されるというタイミングでした。同じ地元の出身で、「坂本ですが」には、佐野さんの出身校である鳴尾高校っぽい雰囲気もあり、楽しく読ませてもらっていました。若い方が急に亡くなられたと聞くと、自分や自分より上の世代の方の訃報を悔いたときとは、また違った悲しみを感じます。

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 覚悟を決めておられたのか、なんともかっこいい遺書。ご冥福をお祈りいたします。将来を期待される豊かな才能が失われてしまいました。ちょうど連載終了後でしたが、この後も面白い新作のアイデアを温めておられたとのことで残念でなりません。小説ですが、グイン・サーガの途中で亡くなられた栗本薫さんや、まんが「ベルセルク」の三浦建太郎さん、御本人も無念でしょうが、読者としても諦めきれない悔しさがあります。大好きな漫画、「ドリフターズ」は先日、5年ぶりに新刊が出ましたが、平野耕太さん、お願い、完成させて~!「ガラスの仮面」も、結末を気にしながら見届けることのできなかった読者も多いはず…

 楽しみにしている漫画や続き物小説、いつか結末を読ませてもらえると思っていても、急に途中で途切れてしまうこともある。日本の漫画は数も多いだけに玉石混同ではありますが、内容は多種多様にわたり、文学としても十分に値するだけではなく、漫画という媒体には、画力は勿論、読者への見せ方にもテクニックが要求される。読む側にも、記号化された約束…顔に縦線とか…を読み解く能力が要求されます。なかなかに高度な文化だと思う。


 実家がパーマ屋さんの私、お店のお姉さんたちが買っていた少女漫画雑誌を小学校に上る前から読んで(? 見て)いました。電子書籍のお陰で日本で買うのと同時に同じ価格で買える有難いご時世になりました。でも、やっぱり紙の本派なので、紙で持っていたい本もある。「夜廻り猫」や、くるねこ大和さんの「木戸番の番太郎」、荒川弘さんの百姓貴族シリーズ等、寝る前に手にとって読みたい本は、お友達のKちゃんが、日本から送ってくれます。

 紙の本の場合、本屋さんで表紙買いしちゃたり、中身パラパラ見て、気が付いたら全巻持ってレジに並んでいたという恐ろしい事態もありますが、電子書籍の場合、無料サンプルが豊富なのが嬉しくもあり危険でもあり。色んな漫画のさわりを味見して、続きが気になっても今時は調べれば、その後のあらすじやネタバレが出てきます。でも、ハマっちゃって全巻まとめて衝動の大人買いしちゃうことも。最近では、「猫奥」と「葬送のフリーレン」がこのパターンでした。

 昔読んでいた懐かしい漫画が新装版になって宣伝されると、つい手が出てしまったり、先日は、青池保子さんの特集の「芸術新潮」を日本から取り寄せてしまいました。郵送料が本代の3倍だった( ノД`)けど、読み応えがあって満足!日本の漫画文化は本当に素晴らしいと思います。あらゆるジャンルで、優れたお話が読める。いくら漫画やアニメの翻訳が進んでも、日本独特の背景や文化を完全意訳することはできません。人となりを表す一人称の、俺、僕、私、わらわ…等々、英語じゃ一派一絡げで「I」だし。日本人であることって特権だよね。ラッキー!


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コタツで読書

 金曜の夜は、劇場客席案内係のボランティアで、「トッツィー」の2回目を見ました。前回は2階席でしたが、今回はオーケストラの真横のドア。役者さん達の表情もよく見えました。アンサンブルのダンサーさんたち、失礼だけど近くでお顔を見ると、意外と若くはないみたい??でも、あれだけキレキレに動けるの凄い!一層、尊敬の念が… でも、内容が大人向けすぎて、小中学生っぽい子供さんも観客にいたのが他人事ながらちょっと心配。息子たちが中学生時代に、「ほぉほぉ、懐かしのトッツィーかぁ」って、前知識なしに連れて行ったら、慌ててたと思うの。映倫があるように、舞台にも「大人向け」とかの指針があっていいと思う。

 前の夜が遅かったので、朝寝した土曜日は、犬の散歩を兼ねて図書館へ頼んでいた本を取りに行きます。犬連れなので、ドライブスルーの窓口に歩いて行って渡して貰うの(^▽^;) 今週の借りてきた本はこちら。

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 中身を調べず、表紙も見ずに、検索かけて「日本語」ってだけで借りるので、スリフトのお店と同じような「何が出てくるか判らない」、闇鍋みたいなお楽しみがあります。

 「首里の馬」は、高山 羽根子さんの芥川賞受賞作。私は小川洋子さんの作品が好きなのですが、どこまでが現実なのか判らない曖昧な世界観、静けさ、硬質な文章等、とても「小川洋子さんっぽさ」を感じました。読み終わっての感想は、「うーん、純文学」。高山さんは、SF作家としてデビューした方なのだそうで、それを知ると、なるほどと妙に納得した気分になって、寝る前にベッドの中で、果たして小川洋子さんはSFなのだろうかと延々考えてしまった。夕方にコーヒーを飲んだのがまずかったか...

 「神様の休日」には、やられた!だって、たまたまなのに読んだのが3月11日。あの大地震で家族を失った男性の再生の物語ですが、もう涙、涙。しかも、実話だなんて。普段なら手に取らないタイプの題名で、内容も知っていたら読んでなかった。だって、絶対に泣くもん。あと引くもん。もう12年にもなるのですね。ニュースを見ても非現実的すぎて、何の感情もわかなかったのは、9-11の時もそうでした。その時は「ふーん」で、少し経ってから急にどーん!と、来る感じ。

 電車に乗っていると、窓の外を駆け抜けていく知らない町の家の一軒一軒、マンションの窓の一つ一つ、みーんな誰かが生きてて、それぞれの問題や幸せや悲しみや怒りや喜びがあるって不思議で。多くの生き物の命や無生物が、ある日突然押し流されて消失してしまったという事実は、未だ私には、現実として捉えられないように思います。むしろ、事実から無意識のうちに逃げているのかも。だから、こういう、知らない町の中の1軒の事実を知ると、その重さに負けてしまう。

 気分変えなきゃ!と、「花ひいらぎの街角」を読み始めたけど、美味しそうな描写が多くて、夜に読むもんじゃなかったわ(^^;) なんか違和感があるので調べたら、シリーズ物の6冊目でした。一見さんお断りな本ではなかったけど、やっぱり、シリースの前の本で主要登場人物はおなじみという前提があって100%楽しめるのかな、という気はしました。ほっこり系かと思ったら、結構チクチク来た。

 図書館本、先週借りた中にもあったけど、何冊も出ているシリーズの真ん中編一冊だけって、なぜ?って思いますね。先週借りた「恋歌」はカバー表紙が上下逆についていたので、多分日本語の分からない人が取扱ってるのでしょうが、選書は誰がしてるんだろう?コロンバス周辺の日本人学校があるワージントン市の図書館の日本語蔵書は、わたしが寄付した本が図書館本になってたことがある(ちょっと嬉しかった)ので、寄付された中から状態のいいものは書架行きかもだけど、栞の位置やページのめくれ方から、開いたのは私が最初かも?と思う本も意外と多いのです。何が基準なのか興味あるなぁ…

 英語本2冊は、シンシナティに関する本。「失われたシンシナティ」は、長年住んでいて、今は無くなったお店やまちの昔を知る人にはとても面白いだろうと思いました。写真も多いので、全く知らない私がパラパラしても興味深かったけど。もう一冊は、名前からしてガイドブックかと思ったら、コミュニティーに関するエッセー集。元々の住民を追出して地価を上げ今の繁栄があるって論調が主なので、最近来てダウンタウンに住んでる、「外から来たプロフェッショナル」な私は、どうもすんません、ですよ。


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60歳の老婆

相変わらずエクストリーム三寒四温のオハイオですが、少しづつ春が感じられるようになりました。だって、花粉が飛んでるのを、しみじみ感じるもん。

 昨日は朝から暖かく、前夜のお湿りで湿度が高かったせいか、私にアレルギー源の木の花粉がひゃっはー!大きなくしゃみを連発して、オフィスの隣の部屋の人に心配されるほど。そこで今朝、アレルギーの薬を飲んだら眠気との戦いでアクビ連発。゚(゚´Д`゚)゚。 以前、50肩になって鍼灸に通っていた間は、免疫を強める治療もして貰い、花粉症も出ませんでした。でも、その先生がコロナでオフィスを閉めてしまい、自分も引越したり。近くにいい先生がいたら、また鍼灸に通いたい。


 で、とーとつですが。

 先週末、なんとなく推理小説が読みたいけど、一度読んだら読返す気になれないのが推理小説。手元に読んでない推理本が無いけど、わざわざ買う気になれず、無料の青空文庫で江戸川乱歩の初期の探偵物短編集を読んでいました。その中の、「心理試験」という一作は、「あのおいぼれが、そんな大金を持っているということに何の価値がある。 それを俺の様な未来のある青年の学資に使用するのは、極めて合理的なこと」と、傲慢な青年が金貸しの老婆を殺して金を奪うために浅知恵を働かせる話。この被害者が「もう六十に近い老婆」なのです。

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何時の間にか「とーとつにエジプト神・2」が始まってた
好きなの~v

 自分は選ばれた非凡人と信じる傲慢な若者が金貸しの老婆を殺すといえば、ドストエフスキーの「罪と罰」。気になって、ラスコーリニコフの殺した高利貸しの老婆、アリューニャの描写を調べてみると、60歳前後なんだそうです。ああ、やっぱり60歳近いと「老婆」なのか...と、還暦目前の私は遠い目になる。

 「罪と罰」は1866年、「心理試験」は1925年の刊で、乱歩がドストエフスキーに影響を受けたのは明らか。ドスさんは宗教臭くて好きじゃないんで、「罪と罰」もよく覚えてないけどトリックも似たような感じだったと思って、これまた検索したら、丸々そのまんまでしたよ。パクリとオマージュの境って...

 ともあれ、老婆宣言を受けた私にショックの上乗せはオゼンピック顔の記事!ここでも何度か副作用をぼやいた、私が処方された2型糖尿病の治療薬が、まさにこのオゼンピックなのですわー!

 オゼンピックは、消化ホルモンである「GLP-1」を用いてインスリンの分泌を促す薬です。週に一回、プスッとするだけでよいこと、保険がきくこと、そして以前、紫斑病罹患後に処方された、一番よく使われているメトフォルミンが合わなかったこともあって、血糖値コントロールに処方されました。使用直後には副作用に苦しみ、お医者様に相談しましたが、毎週、副作用は軽くなり、今では特に問題もないのですが…

 食欲はちゃんとあるけど、本当に一度に少ししか食べられなくなった。以前の半分も食べたら、もうお腹いっぱい。だから、ちょびちょび、ダラダラ食べていますが、どうもズボンが緩い。で、なーんか首のシワが増えたような気がすると思ったら、この「オゼンピック顔」の記事。この薬の服用で急激に体重が落ちることによって、皮膚がたるんで、顔に張りが無くなるとか。首のシワ、気のせいじゃない-?!?・゚・(つД`)・゚・

 先日、専門のお医者様に会った時にも相談したのですが、特に体重は減ってないし、いいんじゃないのー、と、軽くいなされてしまったし。シワと血糖値を天秤にかけたら、糖尿病の方が怖い。でも、頬がこける、しわが増える、そして上記記事曰く、「実年齢よりも老けて見えたり、痩せこけた顔を指す」とな。悲しすぎやん、それ...

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今日は「Love your pets」の日だそうですよ。それって週7日そうだと思うけど
とりあえず、人間なら老婆仲間な犬を貼る



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人間たちの話

 面白い本に出会いました!柞刈湯葉さんの短編集、「人間たちの話」。この方の作品を読むのは初めて、というより、初めて知った作家さんなのですが、電子書籍サイトがセールだったので、なにか面白くてサクッと読めるものないかなぁと探している時に見つけました。私の感想を一言でいうと、すごく理系

 私は文系頭なので、発想も視点もとても新鮮でした。ご自身によるあとがきで、これはSF(サイエンス・フィクション)」ですとあり、多くのSFは本当は「サイエンス」じゃなくて「テクノロジー・フィクション」だよね、と、書かれていましたが、これも「なるほど!」です。

 読み易い軽妙な文体で、様々なシチュエーションの6篇が収められています。特に3作目の「人間たちの話」と、最後の「NoReaction」は、これぞ当に「サイエンス」フィクション。こういう考え方、見方もあるのかと嬉しい驚きでした。作者の柞刈さんは、商品内容の紹介で「稀才」と評されています。「奇才」としている紹介もありましたが、アマゾンでは「稀才」。こっちだよね。

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表紙絵が、各短編の登場キャラたち
この絵の感じもぴったり(゚∀゚)

「冬の時代」
寒冷化が進んで雪と氷しか無い日本列島を、かつて岩手だったところから歩いてきた二人組は、南にあるという「春の国」を目指して橇を引いて歩いて1年ほど。かつて静岡だった所で珍しく動いている機会と遭遇し... これは長編にしてほしい。もっと二人の旅路を追っていきたいです。出てくる色んなガジェットや、冬の時代の来る前に遺伝子操作された生物も面白い。

「楽しい超監視社会」
作者自身のあとがきによると、オーウェル「一九八四年」の、超ふざけたパロディーだそうです。常に監視された世界に馴染み、楽しく生きてる青年達のお話。互いに監視し合う目的で2人1組が要求される社会で、1人は作家志望の大学生、もう一人は屈強な兵士。とかく若者達は楽しく生きることが得意。反体制者をチクったり、彼女を作ることでポイント稼いでハイファイブ!こういう世界しか知らず、それが普通として育てば、わざわざ思想を持って体制に反抗しようとは思わない。宗教二世的な?現代社会への警告として一説打つ人もいそうだけど、私は単純にアハハと笑って面白かった。

「人間たちの話」
火星の新生命を発見したチームの科学者、生命とは何だろうと疑問を抱き、まずは姉の子で、いきなり押し付けられた甥と人間的関係を築こうと思う話、って書くと随分とウェットな感じだけどむしろドライでシニカル、短い中にサラリと複雑な設定を織り交ぜながら、最後にはほっこり。これだけのお話を短くまとめるところも、難しい科学論を判りやすく読ませるところも巧い!

「宇宙ラーメン重油味」
『消化管があるやつは全員客』をモットーに、内惑星でラーメン屋を営む青年。太陽系外生命体のお客さまに満足してもらうため、お客様の様々な生態や好みを研究し、多様な材料を取り寄せてラーメン作りに挑みます。スープによくある軽油じゃなくて重油が使われているのも、お客様が喜ぶポイント。怒涛の化学の蘊蓄、てんでわかんない。でも作者の知識量と科学への理解をバックボーンに難しいことを軽く、面白おかしく書いて、文系な私も楽しく読める。それにしても、この頃、妙に客が増えたなぁと思ったら、実は...ってオチも良し。

「記念日」
30歳の誕生日、アパートの部屋にいきなりマルグリッドの絵に出てくるような巨大な岩が現れた研究員。モデルは作者ご自身かしら?一歩間違えば(?)、人間の心の深層に踏み込んだ、カフカっぽい不条理小説になりそうなのに、これも軽く読ませるユーモアセンス。でも、この雰囲気を保ちつつ、他の言語に翻訳するのって難しそうって思った。

「No Reaction」
主人公は透明人間の中学生。中学生の年齢なら羨望の存在だけど、現実には他からは見えないから存在しないのと同じで、物質的に干渉できないから自分ではドアも開けられなくて不便だし、人に触れても感じてもらえない。好きな人ができても、彼女は自分の存在を感じない。切ない。ジャンプ+の読切漫画にありそうなお話。


 と、書いてきて気がついたのは、どの作品も人と何か(他の人だったり、宇宙生命体だったり、岩だったり)の交流が暖かく描かれていること。どのお話も読後感はスッキリ、ほっこり。

 これが気に入ったので、早速、同じ作者の「未来職安」も買ってみました。ユニバーサル・ベーシックインカムが実現し、99%の人口は消費者として何もせず、1%だけが生産者として働いている世界という設定は面白いけど、「人間たち」ほどの新鮮味は感じませんでした。デビュー作を収めた「まず牛を球とします。」も読みたいけど、まだ単行本で高いので文庫になるのを待ちます。


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猫奥

やーっと、アメリカ下院の議長が、マッカーシー共和党議員に決まりました。これからも前途多難、なにか決めようとするたびに揉めるんだろうな。でも、国民の注意を惹かないままに身のない討議の末、政策が決まっちゃて事後報告な日本よりもいいのかも?

 さて、お正月休みを昼間っからワインすすりながらストリーミングで映画見たり、漫画を読んでグータラと過ごした私、お天気悪いしぃ、どこも閉まってるしぃ、と、今年もまたダメ人間全開でスタートしてしまった。本当に一年の計が元旦にあるなら、昼間っからほろ酔いで漫画読み耽ってるって、小原庄助さんまっしぐらだわ。でもね!今年は、お友達がなんと、インスタントのお雑煮とお餅を送ってくれたので、元旦にお雑煮を頂いたんですよ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆。一体、何年ぶり??ちょっとはお正月っぽいことが出来ました。お雑煮までがフリーズドライなんて、良い時代になったものですねぇ…(雑煮くらい作れってツッコミは無しで)

 お雑煮には地方色が出ますが、我が家は元旦が白味噌仕立て、2日がおすましでした。私の両親は共に関西の人なのですが、この組み合わせは何処から来たんだろう?今にして思えば謎。妹、覚えてたらお母さんに聞いといて。

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Kちゃんからのクリスマス・パッケージ。壮観!そして、ちゃんと写真取った!(いつも撮る前にお菓子食べ散らかしてしまう)
お弁当箱セットには、予備のパッキンと蓋付きという抜かりなさ。ちなみに食べ物は三賀日で全滅

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アラスカの息子からのクリスマスプレゼントは鮭とタコの燻製。酒の肴だよね、これ…

 こんなお正月、ずっと無料公開分をチマチマと読んでいた漫画を、電子書籍サイトのお正月セールで全部大人買いしました…って、既刊5冊ですけど。

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 天保の時代の大奥を舞台に、御年寄の滝山が、本当は猫が大好きなのに、周囲からは猫嫌いと誤解されて、こっそり猫をかわいがったり、かわいがれなかったり振り回されるお話。作者の山村東さんは高校の歴史の先生だったそうで、時代考証もしっかりして大奥のことも学べますが、擬人化もカワイイ化もされていないリアルな猫がとても魅力的!作者の方は猫を二匹飼っているそうですが、猫の仕草や行動をよく見てって感心します。舞台は江戸時代とはいえ、猫飼いあるあるがいっぱい。

 滝山は実在の徳川最後の御年寄、家老にも筆頭する絶大な権力を有した方ですが、すっかり、この滝山ファンになってしまって、他の本の中でも「滝山」の名前が出ると、役割に関わりなくビジュアルは、この漫画の三白眼な滝山で想像してしまいます。漫画は今、天保13年ですが、天保15年には、滝山が愛する三毛猫、吉野ちゃんの飼い主である上臈御年寄の姉小路さんが天ぷらで火事起こして本丸丸焼けにしちゃったりってイベントもあるし、後の天璋院篤姫の猫の世話係になる滝山の姪、ませも部屋子として出ているし、長く書き続けてほしい作品です…ですが、今のほのぼのコメディー路線じゃなくなっちゃうかな。

 無料公開で漫画が読める、単行本もスグ読める。本当に良い時代になったなぁ… 来週には、単行本が出るたびに買ってる漫画、「ハクメイとミコチ」も、発売同日に読めるよ。


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超進化したクモ vs. 人類

 11月の第三木曜日は、アメリカの感謝祭です。家族が揃って詰め物をした七面鳥をメインに所定メニューを頂き、感謝する日。元々はピルグリム達が現地の人々に食べ物をもらって冬を生き延びることが出来たことを感謝する祝日。親戚一同が集まるとか、メニューが決まってたり、本来、ご先祖のサバイバルに感謝するので、私的に日本の盆正月ポジションかと。私は身内が近くにいませんから、コタツムリとなって家に引き籠る。朝は、アパート前がマラソンのルートで道路が閉鎖になるので、犬の散歩とかで面倒臭いかも?と、思っていましたが、自分が起きた時には、マラソンはとっくに終了してた~(〃▽〃)

 翌金曜日を含めてお休みなので、4連休です。この一年を振り返って感謝する伝統ですが、私は4日間の朝寝と怠惰な日々に感謝。木曜日は、一日中、ワインをすすりながら本を読みました。私が一日かけて読んだのは、エイドリアン・チャイコフスキーのSF、「時の子供たち(Children of Time)」上下編。作者のチャイコフスキーさんは名前がロシア人みたいだけど、ポーランド系のイギリス人だそうです。

 戦争で荒廃した地球を逃れ、新たな居住地を探す人類と、テラフォーミングのために惑星に透過された、進化を速めるナノウイルスに感染した土着のクモ。この試みの責任者であるカーン博士、進化する蜘蛛たち、そして移住可能な星を求める宇宙船ギルガメシュの乗組員の数千年に及ぶ三つ巴が、乗組員パートと蜘蛛パートの交互で語られます。最後は、こうなったらいいな、と、思っていた結末でよかったけど、2016年のアーサー・C・クラーク賞を受賞したり、評判が良かったものだから、2019年に続編、Children of Ruin、そしてつい先日、Children of Memoryが発行されたばかり。ヲイヲイ、せっかくキレイに〆たのにシリーズ化?と、ちょっと不安。この頃、小説や漫画でも映画やドラマでも、一つ当たると、そのまま金蔓化してダラダラと続く作品が多いように思うの。

 この作品はLionsgateによる映画化が2017年に伝わりましたが、その後どうなったかは不明。正直、人間パートはいいけど、蜘蛛パートどうするの?個人的には見てみたいけど、大きなクモがワサワサしてる姿を大画面で見たい人って、スーパーヒーローの活躍を見たい人よりかなり少なそうなんですが…

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英語版の表紙

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こちら竹書房の表紙

 もうちょっと、なんというか… 本屋さんで思わず手が伸びるような、魅力的な表紙にしてほしかったかもよ… 折角、性差別、宗教、奴隷制に対するアンチテーゼを盛り込み、しかもSFとしての要素もしっかり押さえた野心的で面白いお話なのに… 本を表紙で判断するなとは言いますが、表紙買いって絶対あるよね。私は、日本にいた頃、表紙絵が天野喜孝さんの文庫は、つい手を出しちゃったわ。

ちなみにこの本、翌日、アマゾンのブラックフライデーで半額セールになってました。ぐはっ!


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背中の蜘蛛

 ヤフーの記事に、本を読んでも頭は良くならないってタイトルがあって、そりゃ、そうでしょうと思いつつ、そういえば、本って何のために読むんだっけ?と。もちろん、面白いから、楽しいから、なのですが、つまんな~い、きら~い、と思いつつも読んでいることがあり、もう、読むために読んでいるとしか。それでも、ああ、下らなかった、薄っぺらすぎ!と、毒づくのも楽しいかも?

 前回、図書館で借りてきたのは、女性作家作品ばかりでしたが、今回は男性作家ばかり。別に選んだわけではなく、目についた読んだことのない本を適当に借りてきたら、そうなった。その中でまず、誉田哲也氏の「背中の蜘蛛」を読んでみました。家に帰ってから、しまった!この方の「ケモノの城」はトラウマ本だった!姫川玲子シリーズも苦手だしなぁ、と、思いつつ、でも読む。はーい、後味悪かったでーす。

 ダヴィンチ誌の紹介によれば、「科学技術の進歩により、かつて迷宮入りしていた事件が解決に導かれることは少なくない。では、情報社会の現代において、警察はどのような最新技術を用いて捜査を行っているのだろうか。その方法を知ることはできないが、私たちはあらゆる場所にあらゆる痕跡を残しながら暮らしているような気がする。街中に目を光らす監視カメラ。プライベートがぎっしり詰まった一人ひとりのスマートフォン。すべてが筒抜けと言われるインターネットの世界…。(アサトーミナミさん)」

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 宮部みゆきさんの短編に、町中で増殖する監視カメラと戦う少年と老人のお話があったけど、好むと好まざるに拘わらず、いつ、どこで、誰と、何をしたか、どんなことを言った(投稿した)か等々、なんでもバレバレな世界。気が付かないうちに監視されている。その感覚を恐怖と捉えるか、時代の流れと軽く受け流すか。

 この本は、警察が個人のネット使用歴や監視カメラによる顔認証を駆使して犯人を追い詰めていく、そのために個人情報が密かに開示されていてもいいのか、と、いうのがキモ。ウェブ(蜘蛛の巣)を張り巡らし、事件に関連した情報を拾ってくる「スパイダー」、監視装置の「スティングレイ」、そんな全ての監視分析技術がアメリカから来ているとありますが、そのアメリカに住む私は、何を今更~、と。

 9/11という大義名分を得て以来、アメリカではテロリストの発見、テロの未然防止を名目に、プライバシーなんか幻想。それを普通に受け入れてる自分は、国に飼いならされているのかも。2019年発表の「背中の蜘蛛」は、第162回直木賞候補作品ですが、本の帯が言うように、「これまでの日常には戻れない」ほどに衝撃なら、日本はえらく平和だと思います。

 スーパーで顧客カードをスキャンすると、何を買ったかの情報が蓄積される。それを基に、よく買う商品のクーポンが貰える。自分の情報なんて、膨大な顧客の好みを分析するデータの何万十分の1程度しか役に立たないだろう。もし自分が、誰もが興味を抱く大スターとか、渦中の人物なら、気にするかもだけど、別に気にしてない私は、むしろクーポン貰ってウハウハ。

 映画「エクス・マキナ」では、グーグル創始者的なカリスマ経営者が、主人公の好みそのままのアンドロイドを創る。そのアンドロイドが完璧なのは、主人公が何を検索したかを基にしている。その気になれば、特定個人を知り尽くすことも可能。その割に、無差別銃撃やテロが未然に防止できないんだから、未来を予見する超能力者を使って犯罪を未然防止する、フィリップ K. ディックの書いたSF世界には、まだ遠い。でも、人じゃなくてコンピューターが未来を予測するんだから、もっとSFだね。

 中国でオリンピックが始まりましたが、携帯やアプリを使うなと警告されています。どこで何をやっても見られてる。アプリを使えば情報を抜かれる。それを、国を挙げて国際的に大っぴらにやっちゃう時代。もう開き直って、後ろめたいことが無いんなら慣れるしかないよね、と、思う私です。そんな時代になっちゃんだなぁ...

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なんだか、見られているような気がしない?



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日本の性は乱れておるのか!?

 月曜日は祝祭日で、3連休でした。日曜の午後から降り始めた雪が月曜の夕方まで降り続いていたので、ちょうどお休みで良かったです...が!  雪のせいかどうかは知りませんが、インターネットがダウンしちゃったよ~・゚・(つД`)・゚・

 ネット中毒の私には、これはキツイ。私はテレビを見ないので、テレビそのものが無いから、数時間チャンネルを回し続けて暇つぶしもできない。雪なんで、出掛けたくもない。ならば、これを機会にデジタル・デトックス、なんてのは無理!まぁ、プロバイダーがダウンしても、携帯でニュースやメールはチェックできるので、完全にインターネットが無いわけじゃないけど、ひたすら手持無沙汰。掃除して、洗濯して、家の前の雪かきして... とはいえ、狭い家、短い通路、あっという間に終わってしまいます。

 幸い、土曜日に図書館に行って、目新しい本を借りてきたので、コタツに陣取って、ネットなければただの箱と化したPCを押しのけ、箱入りワインとおやつをテーブルに乗せて読書三昧とする。正直、どれも自分で買ったり、他に色々と選択肢があったら興味のないタイプの小説だけど、タダで読める日本語の本なら何でもいい状態ですから、中身も作者も確かめず借りました。

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ラインアップ、芥川賞作家に直木賞候補に人気の芥川・直木賞候補

 どの本も、現代を舞台にした恋愛もの。途中で投げ出し、ヒマなんでまた読みを繰返して完読したけど、日本を離れて三十数年、感性が全くズレてる私は、新しめの文芸作品、特に女性が作者の作品を読むと、日本人はかくも性的に奔放なのかと驚いてしまいます。小説世界が必ずしも現実を反映しているとは思いませんし、奔放な女性は創作上でも歴史上でも多く存在します...と、言いますか、奔放で何かやらかしたから話としても面白く、歴史に名を残しもするのでしょうが。

 でも、芸能人の不倫が激しく叩かれる現実に対し、小説の中の人物は不倫、二股、三股も普通、頼まれたから彼氏の弟とセックスして揉めたり、リベンジポルノの被害者になったり、バイト先の大学生とたまたま職場外で会ったから深い仲になったり、別れたり、相手が離婚したから、またひっついたり、ああ、もう、大変タイヘン。

 20代の男女の仲はかくも軽く、30代半ばで大学時代の仲間と離婚パーティーやって、大学時代のままのノリで、皆さん、お洒落い仕事について、中堅どころで社会的責任もありましょうに、いいんかね?と、しらける私の日本観は昭和で止まってるから、自分が古すぎるせいなのでしょうのが、こういうお話が「純文学」として受けるのは、現実はしらんけど、こういう世界に憧憬があるから需要もあるんでしょう。失楽園に「んなワケねーだろ!」と、思いつつも他人の情事を盗み見る背徳感で読んじゃうような。

 でも同時に、これは村上春樹氏の所為ではなかろうか?って気もする。私は、村上春樹の文章はすごく上手いと思ってるけど、生憎、お話を好きになったことがありません。全作を読んではいないので、批評する意図は全くないけれど、単に個人的に好みに合わないだけ。でも、とても影響力のある作家さんで、その独特の世界のファンが多いのも解る気がする。と、また前置きが長いけど、村上氏の登場人物たちって、直ぐ性交に及ぶじゃないですか。たとえば、私の覚えてる「ノルウェイの森」って:
     高校時代に親友が自殺して、そのガールフレンドの直子と再会したからセックスした。
     直子が精神病になって施設に入ったんで見舞いに行ったら、世話係のレイ子さんと会った。
     直子が京都にいて寂しいから、ひたすらセックスした。
     直子が自殺したので葬式してレイ子さんとセックスした。
     大学で知り合った気になる子と付き合うことにした。
     やれやれ。
って、話。なんか、異性と会えば行為に及ぶ、主人公は優柔不断ってのが、日本では良い小説的な傾向があるんではないかと、浅読みの私は疑ってしまうのだ。


 口直し(?)に、寝る前に全くベクトルの違うお話が読みたくなったので、小川洋子さんの、あくまでも静謐に閉鎖された世界のお話を読みたくなり「琥珀のまたたき」を再読しました。夢見は悪かった。やれやれ。



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sirowaniko

Author:sirowaniko
アメリカ生活も30年超え、NY、MA、DC、TX,CO、CA、OHを経て、今は南部のジョージアに犬猫と住んでいる普通のおばさん。蚊と蚤とトランプ一味以外の生き物が好き。

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