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筋金入りだった「バービー」

 話題の映画、「バービー」を観ました。それなりに前情報は得ていましたが、有名なあの映画のパロディーに始まるオープニングから「そう来たか!」と驚き、最後のオチにも思わずニヤリ。そして、敢えてそういう戦略なのでしょうが、お話に重要な役割を果たす母娘は一切、ポスター等で取り上げられておらず、ある意味では予想外な、一方では前評判通りの強いフェミニズムのメッセージで予想通りな作品でした。無神経な「オッペンハイマー」との関連のせいで、日本では不快感を覚える人も多いそうですが、作品自体は無関係ですし、とっても楽しい映画だったので、日本でもたくさんの人が楽しめればいいなって思います。

以下、ちょこっとネタバレ~

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大統領バービーがミシェル・オバマさんっぽいと思うの

 古来、女性は母だった。女の子は赤ちゃん人形を与えられ、疑似母親として振舞うのが、女の子の「遊び」でした。そこへ、女の子だって何にでもなれるバービー登場!1959年3月、マテル社の共同創業者一人、ルース・ハンドラー女子の発明による、バービー人形が売り出されました。今や、あらゆる職業に加え、人種も多様化、障害を持つバービーも。

 映画の主人公、マーゴット・ロビーが演じるのは、「典型的な」バービー。毎日が最高にご機嫌で完璧なバービーランドに住んでいます。仲間は大統領バービー、医者バービー、判事バービー、記者バービー等々、人魚バービーなんて人外も。昨今の多様性重視を受けてか、なぜか弁護士バービーちゃんだけ太目。ボーイフレンドのケンも多種多様で、ライアン・ゴズリングのケンは「ビーチ・ケン」です。あくまでも「ビーチ」のケンなので、海には入れませんw

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おはよう、バービーランド

 バービーランドでは毎晩がガールズ・ナイト。朝起きてからおやすみまで、ひたすら楽しく明るく過ぎていくのですが、ある朝、典型的バービーが起きたら、完璧じゃなくなってる!これは大問題。「へんてこバービー」が言うには、夢を失った自分の持主を見付けて、再びバービーは完璧だと信じさせることが必要だと。勝手についてきたケンと共に人間界のロサンゼルスにやってきたバービーは、人間界はちっとも完璧じゃないし、楽しい事ばかりじゃないと知ります。自分の持ち主と思しき中学生のサーシャは、バービー人形で遊ぶのなんて5歳までだよね~、と、嘲笑するし。

 このサーシャと、サーシャの母親でマテル社で働くシングルマザーのグロリアが、実は真の主人公と言っていいほど、ちょっと意外な展開に。フェミニズムを謳い上げる内容なんだけど、ゴリ押ししてくるわけでもなく、気軽に笑って観られる映画です。マーゴット・ロビーはとってもチャーミングだし、バービーたちのファッションやバービーランドを楽しめて、劇場で見てよかったと思うの。

 ケンはバービーのおまけに過ぎないけれど、実は人間社会は男性優位であると知ったビーチ・ケンが、家父長制の価値観を持込んでバービーランドを引繰り返し、ウィル・ファレルの社長が率いる全員男性のマテル社重役たちは、事態の収拾のためにバービーランドにやってくるけど、女性の価値を理解していない。お隣の韓国では興行的に失敗だったそうですが、そんな所が男性蔑視的に取られたのかも?ケンたちはひたすらおバカだし、マテル者の重役たちも完全にズレてるし。

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ヘレン・ミレンはナレーターで、映画には顔出ししません
グランマ・バービーがあってもいいと思うんだけど

 ケン役をはっちゃけて演じていたライアン・ゴズリングさん、バービー人形で遊ぶ年代の娘さんが二人いるそうで… 今後のゴズリング家における父の尊厳が少し心配だわwww



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オッペンハイマー(超ネタバレ注意)

長いので、映画に興味のある方、ネタバレも大丈夫っ方てのみ付き合ってください。

 クリストファー・ノーラン監督作品はIMAXで観ようと決めてる私、今作もIMAX劇場でかかっているうちに見に行きました。川向いのシアターはスクリーン数20面の大劇場ですが、IMAXシアターは1件だけで、週毎に代わっちゃうので。音響効果が凄まじく、お腹に響くのでドルビー効果の劇場は正解だったけど、3時間のIMAX画面はちょっとオバー・キルだったかも。顔のアップのシーンが多いし。

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 原作は、カイ・バードとマーティン・シャーウィンによるピュリッツァー賞受賞の「American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer(アメリカのプロメテウス:ロバート・オッペンハイマーの 栄光と悲劇)」(2006)です。天界から火を盗んで人類に与えた罪で永遠の責苦を受けるギリシア神話のプロメテウス、映画中でも少し触れられていましたが、第ニ次世界大戦中に70人の科学者による核兵器開発チームを率い、原子爆弾という未曽有の大量殺戮兵器を創り出してしまったオッペンハイマーに重ねています。

 映画は幾つかの時系列を行き来するので少し判り難いところがありますが、基本的には、オッペンハイマーが核兵器開発チームのリーダーを任されるまでに一時間、ニュー・メキシコ州のロス・アラモスでの群像劇とテストの成功に一時間、そして戦後のアカ狩りのターゲットになって密室の聴聞会と、、原子力委員会議長だったルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)の商務長官就任承認をめぐる議会の聞き取りを中心に一時間という三部構成。誰が誰なのかを理解するために、予めマンハッタン計画に参加した主要科学者達について知識を得てから観るべきだったと後悔しました。

 日本では公開が未定だそうですが、あくまでもオッペンハイマーという人物の伝記であり、原爆が主題ではなく、むしろ政治劇に近い。日本で公開が決まらないのは、原爆投下日を目前にした時期的な考慮とか、被害者となった日本への考慮とか憶測が流れていますが、ジョン・ウィックなんかも、日本での公開がずっと後だし、珍しいことではないのでしょう。この映画を原爆を描いた作品だと思って身構えたら肩透かしを食うかも。単にIMAX劇場の順番待ちだったりして。あ、私自身、父が疎開先の長崎で被爆した二世ですんで、被爆者の心情云々とかって怒鳴り込んで来ないでね。

 合間に共産党員のジーン(今を時めくフロレンス・ピューが大胆演技!)との情事や、背景も言動も行動も強烈な妻キティー(エミリー・ブラント)との出会いやオッペンハイマー家の事情が語られます。キティーは自分の子供たちを愛せなかったようで、息子のピーターは友人に預けられたり、「養子に欲しい?」なんて言われて、母とのシーンではヒステリックに泣いてばかり。そんな息子はどうなったかが気になって調べたら、ピーターは学業は上手くいかなかったものの、父の農場を引継ぎ3人の子を得たと知って安心。でも映画では一瞬出てきた赤ん坊の娘、トニは33歳で自殺してしまったそうです。

 アメリカのネットでは、映画で描かれた内容の真偽の考察が花盛りですが、まずは背後に写る星条旗の星の数が間違っているというもの。細かいなぁ。私的には頻繁に登場する黒板の難しい方程式の数々、私の頭には文字の羅列に過ぎないのですが、色々と凝るノーラン監督だから、きっと本当の計算式だと思うので、誰か簡単に解説して欲しい。孫のチャールズ・オッペンハイマーさん(ピーターさんの息子さん)は、指導教官のりんごに毒を仕込んだエピソードは真実ではなく、そこが気に入らないそうです。主人公の変人ぶりや偏屈さ、突飛もない行動に出るところ…何を狙ったのか解らないけど、自分では一人でも手を下せなかった男が、間接的には50万人以上を殺したってこと?

 映画なので、面白い絵を見せるのも大事な要素。トラックに引っ張られてロス・アラモスからドナ・ドナされるリトルボーイとファットマンを複雑な表情で見送るシーンも、実際には爆弾は他の場所で組立てられたので創作。トリニティ・テストの場面は、実際の爆弾爆発が映りますが原爆ではありません。当たり前だろ!なんだけど、アメリカじゃ疑う人が多いのも、原爆舐めてるなって思う。んなもん、どんな状況下でも本当に爆発させられるわけ無いでしょ!さすがは冷蔵庫に入ってたら助かるって思ってる国だ。バーベンハイマーとかって、「バービー」と一緒に二作続けてみるのがトレンドらしいけど(タフだねぇ)、ピンクの原爆雲のミームを創れるのも、原爆の怖さを全く分かっていないからなのですね。この映画は、原爆の本当の恐ろしさを知らしめる折角の機会だったはずなのですが…

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どなどなど~な~、ど~な~、原爆は行くよ

 CGは使わないって売込みだけど、映画が始まって直ぐのオッペンハイマーの頭の中の宇宙や、ラストの地球の映像はCGなんじゃないの?なぜ誰も突っ込まない?因みに、原爆投下後の広島のフィルムを見たオッペンハイマーの頭の中での惨状へのイメージはあるけど、実際の広島、長崎は全く映りません。製作側は怖じけついたかね?それを見せずして、この映画の意義は何?って思っちゃうけどね。オッペンハイマーは本当に更にパワフルな水爆の開発に反対したのか?そして、「Now I am become Death.(私は死神になった)」という引用は、どんな心情での言葉だったのか。結局、原爆雲がピンクのミームにされちゃう程度の認識しか生まなかった。

 戦後を描く部分では、主人公は主人公は原子力委員会議長のルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)に重点が移ったようでした。キリアン・マーフィ‐のオッペンハイマーも素晴らしかったけど、このダウニー・Jr.の演技は凄い評価されると思う。オッペンハイマーをプリンストンの高等研究所に誘い、アメリカ発の量子物理学専門の研究所を開かせたのはストローズ。アインシュタインとオッペンハイマーは、プリンストンでの同僚。ストローズはなぜオッペンハイマーを裏切ったのか?
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ストラウス中心の場面では白黒になります

 ノーベル賞受賞科学者のアーネスト・ローレンス(懐かしのジョッシュ・ハーネット、相変わらずかっこいい)は、劇中でも重要な役割ですが、57歳の若さで急逝しています。そしてオッペンハイマーも、1967年に62歳で喉頭がんによって亡くなっています。劇中では常に喫煙しており、癌もそのせいと見せたいのかと疑ってしまうけど、核爆発実験の影響はどうだったのでしょう?何も知らされなかった実験地周辺住民や、テスト参加者の中には、その影響に苦しんでいる人たちが未だアメリカ政府に無視されているそうですが。

 最初と最後に重要な役割を果たすアインシュタインが、短い3場面だけで印象的な役なのは判っていても、実は同じく3回しか登場せず、うち2回はを台詞もないのに美味しい役割を持っていくのは、デビッド・ヒルを演じるラミ・マレック。アカデミー賞役者の彼が意味ありげに画面の端で存在を印象付けてると思ったら、3度目の登場で「キタ━(゚∀゚)━!」でした。

 ひたすら、ロバート・オッペンハイマーという複雑な人間を追った映画のラストはとても怖い。これを見せたくての3時間だったのかな。

 ところで、マンハッタン計画に有能な科学者たちが集まったのは、オッペンハイマー含め、多くのユダヤ人科学者がナチスのユダヤ人に対する弾圧に講義したためと言われており、オッペンハイマーがユダヤ系であることが作中でも重要な要素として描かれていますが、演じたキリアン・マーフィーがアイルランド人で、ユダヤ系ではないことを批判する向きもあるとか。こういった昨今の傾向は一体どこまで行くんでしょうかね?それを言い出したら、「バービー」だって、人間なのに人形の役してるとか、人形に対する配慮が足りないってなるやん…



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実写版「リトル・マーメイド」

観てきました~!

 最寄り劇場の唯一のIMAX劇場は、既にスパイダーマンになっていて残念。海中のシーンはIMAXで観たかった~ でも、3Dを奮発したのは甲斐があったわ。映画は良かったです。ストーリーは分かってるのに、最後は感動でウルウルしちゃった。話題になっていたアリエル役のハリー・ベイリーさんも、とってもチャーミングでした。飛び切りの美人じゃなくて、ちょっと魚っぽい顔立ち(ゴネンナサイ)が、むしろ良かったと思う。ハリーちゃん、表情がとっても可愛くって(*^_^*)

 トリトン王のハビエル・バダムさん、威厳ある海の王と言うより、十代の娘への対応の仕方がわからないシングルファーザーの悲哀がよく出ていました。娘は反抗期だし、妹は海の悪い魔女だし、苦労が多いから白髪にもなるし、シアも増えるよねぇ… その7人の娘たちは、それぞれ七つの海を代表してて、だから人種も様々。なので、カリブ海の人魚姫、アリエルが白人じゃないのはむしろ正しいのね。一方、カリブの王国の王子様、エリックが目の青い白人なのは、誰も突っ込まんのかい?と。だって、お母さんの女王様は黒人女性なんだよ。そしてカニのセバスチャンとかもめのスカットルは作り物感たっぷりなのに、フランダーはそのまんま魚。モロ魚。水族館にいる魚(←しつこい)。

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目が怖いんですけど…
もうちょっと… その、ニモみたいな感じで…

 お話はアニメとほぼ同じ、同じシーンを再現した場面も多いので、別物と割り切って見るのが難しいでしょうし、それが、アニメ版に思い入れがあると赦せないものがあるかも。印象深いシーンだけど、わざわざそのまんま再現しなくてもいいんじゃないかって思った。アニメ・漫画の実写化で、私は「銀魂」、「るろうに剣心」と「ファブル」は、役者さんたちのルックスが合ってることもあって、どれも好きでシリーズ全部見てる。でも、「鋼の錬金術師」は、写真見ただけで脱力したわ。ディズニーのプリンセスの中でも、特に目の大きな日本のアニメっぽい容貌のアリエルも、いくら白人の女優さんでも違和感合ったんじゃないかな。

 映画は、小さな子向けとしては、サメに追いかけられるシーンや船の遭難がシーンが怖い。小さな子供連れたお父さんが泣かれて劇場から出ていったよ(ちゃんと暫く後に帰ってきて、その後は嬉しそうに観ていて私も嬉しかった)。それに、2時間超えは長すぎるかな。多分、10歳前後の女の子が一番楽しめそうだけど、そんな子供達のお母さんは、ちょうどアニメの方で育った世代で複雑な思いがありそう。なので、ターゲットはズバリ!孫を連れていきたいババ様世代、つまり私の世代でしょう!と、いうわけで、おいっ、息子ぉ!!!

 私、映画の予告が観たいので、早めに劇場に入るのですが、今日もたくさん、予告が見られてよかった。ただ、ドリームワークスの新作アニメで今夏公開の「ルビー・ギルマン、ティーンエイジ・クラーケン」は、ちょっと待て!って思ったわ。だって、主人公がクラーケンで、敵役がマーメイドという、リトル・マーメイドと逆のお話なんだよ~


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ディズニーのリトル・マーメイド

 主人公のアリエルに黒人女優を起用したことや、アニメ版との違いが色々と話題になっていたディズニーの実写版「リトル・マーメイド」が先週末から公開され、好調なスタートを切りました。公開後4日間の全米興行収入で1億1750万ドル(約164億円)で、メモリアル・デー週末の興行収入としては歴代第5位、ディズニーの実写リメイク映画の中での初動興行収入は初動興行収入でも第5位だそうです。

 私は未だ映画を観ていないのですが、予告を見る限り映像はきれいだし、アリエル役のハリー・ベイリーの歌声は素晴らしいので、IMAXで観たいと思っていますが、オバサンが一人で行くのはちょっと恥ずかしいかも。地元のナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)で、映画を見た女の子達(6歳~8歳)にインタビューしていましたが、大満足だったよう。ただし、アニメの方は観たことがない子供達で、先入観無しで見れば素晴らしい映画であるに違いないのですが、NPRはリベラルなので、多様性重視側。ちょーっと押し(推し?)が強いかなって気はした。

 そのそもアニメや漫画のイメージが強いと、実写化はどうしてもイメージが受け入れ難いところがありますよね。「るろうに剣心」、「ファブル」は私的にはイメージぴったりでしたが、登場人物が日本人なので違和感が少なかった。ディズニーも「美女と野獣」や「アラディン」の実写化は成功でしたが、「アラディン」のジャズミン姫が白人だったら非難されたでしょう。一方、絵馬・ワトソンさんが演じたベルを白人以外が演じていたら?フロリダ州で、大統領選に出馬したデサントス知事と、ポリコレの急先鋒ディズニーが丁々発止の対決真っ只中ですが、アリエル役も人種を意識してわざわざ黒人を選んだと不満な人も多いようです。難しいですね… 私はアリエル役が何人種でも画面映えするなら気にならないけど、多様性や人種を考慮しなければならないから、敢えて黒人女優を選びましたなら、当のハリー・ベイリーさんにも失礼。

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 昨今は、LBGTQの役をストレートの人が演じるのはいかん、とか、自閉症の役を自閉症ではない人が演じたら批判されたり、私の個人的な意見では理不尽な主張が表立ってまかり通っているような気もします。本当は、人種や性的指向なんか気にしない、特別扱いもしなければ差別もしない、ただ受け入れる事こそが真の「平等」であると思うのですが。

 けれど、「ありのまま」を受け入れることが何よりも難しい。外野から観ていると、差別をなくそうとして斜め上に行ってるように見えることもある。例えば、細く絞られたウエスト、長い手足に大きな目、あり得ない体型と顔で、間違った美の概念を受け付けると、過去に非難の対象となったマテル社のバービー人形、今では多様性を取り入れ、様々な人種や体型、障害も取り入れた商品展開をしています。最近では、ダウン症バービーの発売が発表されました。

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真ん中が新発売のダウン症バービーちゃん<
ちょっと太めの可愛い女の子にしか見えない

 でも、障害なり人種なり体型を取り揃えても、結局は、その理想化された姿であることに違いはない。お人形は憧れを体現したものだから、理想の美しい姿で、お洒落なセレブ生活を満喫するから求められる。実は1959年の初代バービーは既にファンション産業の重役にしてファッションモデル。実は最初からキャリア・ウーマンなのですが、今ではパイロットや科学者、将校に宇宙飛行士等々、様々な職業のバービーが売り出され、工事現場で働くバービー嬢も含め、今では200以上のキャリアを有する(?)けど、それらは憧れの職業であり、女の子に夢を与え、インスピレーションとなるようにとの願いが込められている。シュシュ資格持ちの現場監督バービー、かっこええやん。

 多様性の為に障害を持ったバービーも、やはり理想化されたお目々パッチリ、真っ白な歯で素敵な笑顔の姿。そこには、とんでもない矛盾があると思うのですが。差別はしないよ、多様性を認めるよと言いながら、「差」は付けている。リトル・マーメイドに不満な人を人種差別と非難して、自分は「意識が高い」と思うなら、それも変。難しい時代になったものです(*タメイキ*)

 ところで、時間を確かめるために最寄りの映画館のサイト行ったら、一日一回だけど「Shin Masked Rider(シン仮面ライダー)」やっててびっくりしたわー。ニッチな需要にも応えてるのねぇ…って、そんなに需要あるのかな??


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Women Talking 『ウーマン・トーキング 私たちの選択』

2010年。キリスト教の一派、メノナイトに属する信徒たちが人里離れた場所でコミュニティを営んでいた。そんなある日、女性たちはある恐るべき事実を知る。コミュニティの男たちが女性に薬を盛り、意識を失っている間にレイプするという非道な振る舞いを何年にもわたって続けていたのだと。女性たちは屋根裏部屋で今後どうすべきかを話し合うことにしたが、議論は信仰や赦しの問題にまで及んでいく。(ウィキペディア)

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Women Talking

 Twitterの広告で予告を見て、面白そうとストリーミングで見ました。殆どの場面が集会所である薄暗い納屋の二階で繰広げられ、女性たちの会話だけで話が進められていくので、まるで舞台劇のようです。歴史ドラマかと思いましたが、2010年の出来事であることが、村に明るい音楽(Cheer-up, Sleepy Jean~♪)を大音響で鳴らしながら国勢調査の車がやってきて明らかにされます。ウィキ先生はじめ、紹介サイトのあらすじ、いきなりネタバレしすぎ。

 犯罪がバレた男達がしょっぴかれて村を不在にする2日間、文字を読めない女性たちが初めて「選挙」を経験します。今後、A)何もしない、B)男たちと闘う、C)コロニーを去るの3つの選択で、B)とC)が同点でした。そこで、選ばれた11人が男が村に戻ってくるまでに話合いで決着するために議論します。本当に地味な映画ですが、なぜか引き込まれました。

 映画は、15歳の少女、オーチェを語り手とし、矢張りレイプされて妊娠中のオーナ(ルーニー・マーラ)と、唯一、村に残った男性であり文盲の女性達のために書紀役を務める学校教師のオーガスト(ベン・ウィショー)との触れ合いや、トランスジェンダーのメルビン、夫のDVに悩むオーチェの母マリシェ(ジェシー・バックリー)、そしてプロデューサーでもあるフランシス・マクドーマンドは、「何もしない」を選んで議論には参加しないものの印象的な役柄で、無邪気な子供達の声の合間に様々なエピソードが挟まれます。巧い!

 メノナイトの人々は独特の言語を話し、電気の使用を拒否して自給自足の生活をしています、というと、アーミッシュを思い出しますが、アーミッシュはメノナイトの一派で、更に保守的、19世紀の生活様式を続けています。アーミッシュの生活は、ハリソン・フォードの1985年の映画、「刑事ジョン・ブック 目撃者」で紹介されていました。(ご参考までに、アーミッシュのエリアを訪れた際の記事は、2018年8月2020年6月、そして、アーミッシュの人々のことを少し、2018年5月にも。)

 かつて私が働いていたオハイオの工場には、メノナイトの女性達も働いていましたが、車で通勤してたし、携帯も持ってた。メノナイトと一言で括っても、様々な派があるようです。この映画のメノナイトたちは、ペンシルバニアやこのオハイオで見かけるアーミッシュの人たちよりも、ずっと外部から遮断された保守集団のようです。この話が、実際にボリビアのマニトバ・コロニーであった出来事を元にしているというのが驚き。この事件を元にしたMiriam Toewsの原作小説も読んでみたい。

日本では今年6月に公開だそうです。最後に気になること:邦題はウーマンだけど、これはウイメン、女性たちのお話だよ~っ!(←こだわる)






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映画「イニシェリン島の精霊」にボヤく!

 大変に評判の良い、この映画、コメディー部門でゴールデン・グローブ候補に。予告で見る景色の美しさに動物達の可愛らしさ。音楽も良さそうだし… で、わざわざ観に行ったら、すごく苦手だった...orz
 一体、どこが「コメディー」なの?私には重すぎて、むしろ見て鬱なった。ちゃんと予めストーリーを調べたら良かった... 

 1923年、アイルランドの孤島“イニシェリン島”。本土は内戦に揺れる中、島民全員が顔見知りの島では、皆平和な日々を過ごしていた。ある日、パードリックは交友関係にあったコルムから、突如絶縁を告げられる。理由が分からず、動転するパードリックは……

 第74回ヴェネチア国際映画祭で脚本賞・男優賞に輝いた、『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー監督によるドラマ。内戦が続くアイルランドの孤島を舞台に、交友関係だった友人から突如絶縁を告げられた男性に待ち受ける運命をシニカルに描く。主演はコリン・ファレル。共演に『ハリー・ポッター』シリーズのブレンダン・グリーソンら。(公式その他から引用)


 以下、盛大にネタバレしながらのボヤキ。この画像以下の白抜きは反転すると表示されます:
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 コルムはゴッホが健全青年に思えるほどメンタルがイっちゃてる。癒やしの存在だったロバのジェニーは悲劇的に死ぬし、頭は弱いけど純真なダニエルは何ら報われることなく死ぬ。そういえば、同じ監督の「スリー・ビルボード」も、見終わってモヤモヤする苦手映画だったわ。あの映画も、役者さんたちの演技は良かったけど、共感できる登場人物はいないし、ひたすら気の滅入るお話だった。

 主人公のパードリック(八の字眉の困り顔を活かしたコリン・ファレル)と、コルムは、対岸のアイルランド本土における内戦を互いに象徴しているらしいですが、自分は「良い人」であり、それこそが自分の価値であると信じるパードリックと、作曲に専念するために愚鈍な彼を避けるという目的のためには自傷(自爆?)も平気なコルム。同国人なのに意見お違いを巡って啀み合う両勢力を茶化したと見れば「コメディー」になるの?ロバの死は、全く関係のない一般人の犠牲?

 自分の指を切っちゃう主人を心配して、羊の毛刈り用ハサミを加えて逃げようとする、わんこは可愛い。安心して下さいわんこは死にません。ハサミがあったり、わんこの犬種から、コルムは元は羊飼いだったのでしょうか。でも、家には能面等、世界中の品々が飾られているので、もしかしたら、若い頃にはヴァイオリン弾きとして世界中で演奏していたのかも?とも思わせます。この島の外の世界を知っている。

 精霊(Banshees)は、 老婆の姿をした人の死を予告する妖精だそうです。この映画にも、叫ばないけど死を予告する陰鬱な老婆が出てきます。彼女が、ポスターになっている場面、犬を挟んで浜辺に立つ二人を崖の上から見ている場面で映画は幕を閉じます。向こう岸の戦争は落ち着いたようだな、ああ、と言葉をかわす二人。でも、「良い人」であることが自分の価値だったパードリックも、ヴァイオリン弾きであるコルムも既にいない。原題は「Banshees」と複数。これを私なりに解釈すると...
以下、ネタバレじゃないんで白抜きは止めてもいいかな

 タイトルにある「バンシー達」は誰を指すのか。私が映画を見ていて思ったのは、この雰囲気は小川洋子さんの小説の舞台のようだということです。小川さんは、「私の小説の登場人物はみな死んでいる」と仰ったことがあります。この島の人間は皆、死んでいる。指を切ったのに手当もせずに平気なコルムも、死人だから感染もしなきゃ出血死もしない。島に愛想を尽かして出ていったパードリックの妹のシボーン、警官である父親に虐待され、シボーンに告白したけど断られ、島で唯一の意地悪じゃない人だと思っていたパードリックに失望したドミニクの自死はむしろ、この閉塞した死の世界...何も起きず、ニュース(娯楽)は他人の死だけ、プライバシーは皆無の閉じた世界から自ら出ていった、と、いうのは希望的解釈し過ぎでしょうか?
 
 アイルランド訛の英語が聞き取れなかった部分もあって、理解できてないのかもしれないけど、私には暗鬱とした映画だったという思いだけが残っています。今年のアカデミー賞ノミネート作2強のもう一作、「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」も、うん、確かに衣装は奇抜だったね、だったし。ワタシ的、本年度最高の映画は、デル・トロの「ピノキオ」と「RRR」です!(←分かりやす~い)



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今年、印象に残った映画

 今年も沢山の映画を観ました。以前のように劇場に通うことはしなくなりましたが、映像に拘りがない限りは、家でストリーミングで見られるのも嬉しい。見て暫く経ったら忘れてしまう作品も多く、年末だから見た映画を振り返ってみようとメモを見ても、そういや見たなぁ程度の記憶しかなかったり。そんな中で、今年公開の、じゃないですけど、今年観た中で印象が強かったのが下の3作です。

『ダークウォーターズ 巨大企業が恐れた男』 (公式サイト
 記事にも書きましたが、背筋の寒くなる一作。シンシナティが舞台と教えて頂いて観たのですが、この映画のことを教えてもらえて良かった!!映画情報は割と見ている方なのに、なぜ公開時に気付かなかったかなぁ?好きな俳優さんが出てるのに。

『トップガン・マーベリック』
 数少ない劇場で見た映画。いや、これ劇場で見なきゃ意味ないでしょ、なのですが(感想)。これは、お祭り映画でしたね。見て何かが残るって作品じゃないけど、大画面で戦闘機がビュンビュン飛んで、かっこいー!トム・クルーズは幾つになってもかっこいー!でも、私は最初にちょっろっと出たエド・ハリスさんにキュンキュンですわ(#^.^#)

『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
 これは本当に良かった!私の今年一番かも。今年は、ピノキオ映画が、本場イタリア製、アニメーションをそのまま実写化したディスニー配信、そして、このデル・トロ作品と3作並びました。作者のカルロ・コッローディさんが1890年に亡くなっているので、原作の著作権はとっくに切れてるけど、ディスニーのアニメーションが1940年製作で、その影響で今までは新作が出来なかったんだって。映画の著作権も公開から70年だそうだけど、他に原作のある作品をアニメ化しても著作権が発生するの??ちょっとびっくり。
 ともあれ、自分がデル・トロおじさんの作品のファンである贔屓目を差し置いても、これは名作でした!暖かみのあるストップモーション・アニメで、デル・トロさんらしく、各キャラクターの造形が見事。舞台を戦時中に置き換え、エンディングも原作とは異なりますが、希望に満ちています(私は「パンズ・ラビリンス」をハッピー・エンドととらえる方)。何度も見たい映画でした。

 残念なのは、これ!という邦画に出会えなかったこと。海外なので限られた作品しか見られないのですが、期待したけどイマイチだった~、の連続で。でも、今年公開で未だ観られていない作品がいくつかあるので期待しています。

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ほんと好き




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ダークファンタジーが好き

 って、最近気づきました。きっかけは、ネットフリックスの「ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋」、第一シーズン全8話を、毎晩1話づつ観ようと計画していたのですが、一話見たら、次が見たくなっちゃって、つい全部一気見してしまった。

 ホラー映画は苦手ですが、恨みつらみで迫ってくる日本のおばけは怖いけど、ハリウッドのおばけは不思議と怖くないのです。多くのアメリカのホラーは、悪魔信仰やキリスト教が根本にあるから、怖さを理解していないからかも。シリアル・キラー系の13日の金曜日のジェイソンさんは、日本の貞子さん同様、お笑いキャラ寸前のお茶の間の顔になっちゃったし。そんな貞子さんやジェイソンさんも好きだけど。

 デル・トロ監督は最初に出てきて解説するだけで撮っていませんが、このシリーズは新進監督を支援する意図もあるのかもしれません。デル・トロさんらしいのは、各話、必ず「おばけ」がしっかり登場することかな。悪霊だったり、エイリアンだったり、姿なく忍び寄る~(ヒュー、ドロドロ)ではなく、ちゃんと気色悪い姿でガンガン追いかけてくるので、どんなオバケが出るかも、楽しみでした。

 私的に一番堪えたのは第4話「外観」。剥製作りが趣味の変人女性が、職場の中のイケイケ同僚女性に仲間に入れないのは容姿のせいだと信じ、高価なクリームを使い続けるお話。アレルギー反応で赤くなって痒い肌をに主人公が肌をポリポリ掻いてる姿は、どんなオバケより気色悪い!裕福で、お肌ツヤツヤ、胸が大きく(超大事)、派手な服装であけすけすぎる会話を繰返す同僚たちもエグすぎ。あの会話内容は、どの程度、日本語で訳されてたのかしら。映倫に引掛りそう。露骨すぎて鳥肌立ちました。これは女性監督だからこそ作れた作品だと思います。同性として、かなり衝撃でした。逆に退屈だったのは7話。登場人物たちがお酒飲んで、クスリ飲んで喋ってる場面は長くて飽きちゃった。やーっと、エイリアンご登場~!のあとはドタバタで苦笑。8話は唯一、ハッピーエンドで締めてくれたのも良かったなv

 そういえば、ホラーは嫌いと言いながら、デル・トロ監督の作品や世界が好き。自分はこういうダーク・ファンタジーが好きなんだって、人生60年を目前に初めて気づいて気付いて、レイ・ブラッドベリ作品を読み返しています… 書棚に年代物のブラッドベリだの、タニス・リーだの、クトゥルフ神話が並んでるトコで気づけよ、自分!
 
 第ニシーズンが制作されるなら、ぜひ、ブラッドベリの「何かが道をやってくる」を映像化してほしいな。1983年に一度、映画化されたけど、予告見たら全く惹かれない作品だし。デル・トロ監督風味で、あの世界を見たい~!

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ちなみに私の自慢は、マイケル・ムアコックさんとレイ・ブラッドベリさんに直筆サインいただいた本

 その時の記事、海が好き編は2009年か… もう、そんなになるんだな。御大が亡くなってから暫くして、既にブラッドベリ家の手を離れた近所の黄色いお家は取り壊され、後の祭りになってから、「なんちゅー事したんや!(怒)」と、市に非難轟々だったのも、今は昔…


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sirowaniko

Author:sirowaniko
アメリカ生活も30年超え、NY、MA、DC、TX,CO、CA、OHを経て、今は南部のジョージアに犬猫と住んでいる普通のおばさん。蚊と蚤とトランプ一味以外の生き物が好き。

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