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アメリカの悲劇

長いので、章に分けます。
1. 事件
 アメリカでは先週、カリフォルニアのギルロイで起きた無差別銃乱射で子供たちが犠牲になりました。そして、今週末は、テキサスの国境の町、エル・パソ、そして夜にはオハイオ州、デイトンで銃乱射により、エル・パソで20人、デイトンで9人の死者が出ました。この3件は無差別ですが、銃の乱射(NPOの銃暴力統計調査による定義だと「一度に犯人を除く4人以上が銃撃を受けたか射殺された事件」だそう)だけなら、毎日、毎日、アメリカのどこかで、少なくとも1件は起きていることになります。

 犯人は、週末の買い物客で賑わうウォル・マートで凶行に及びました。今回の被害者には、子供はいませんが、銃撃が始まった時に、周り中の子供達を抱えて避難した、軍人さんの功績もあったでしょう。被害者には、赤子を守って撃たれた母親と、その二人を守ろうとした父親が含まれています。このご夫婦には、この赤ん坊の上に2人の子供たちがいます。長女のお誕生日パーティーの準備のために、買い物に来ていたそうです。両親を失った子供たち、そして新学年の準備の買い物の最中、目前で父親を殺された小学生の女の子もいます。余りにも理不尽です。もちろん、天災や事故で亡くなる方の死も悲しいですが、偶然、人為的に人生を中断されるなんて、どれだけ無念でしょうか。

 そして、デイトンの繁華街、オハイオ地区での事件は、何度も行ったことのある場所での事件だけに、一層生々しく感じられます。こちらは被害者の中に、犯人の妹や友人たちが含まれているので、動機はいまだ不明ですが、この件にしても、エル・パソ、先週のカリフォルニアにしても、なんで一般人が、大量の高機能殺人兵器を所有できるのか、全く意味不明。

 前記のニュージーランドでの事件後、政府は直ちに、半自動小銃とアサルトライフルの販売を即刻禁止、バンプストックおよび大容量弾倉も禁止して市場から政府が買い上げ、禁止法施行後は所有も禁じました。その勇断は、世界中から称賛されましたが、何度、同じ悲劇を日常茶飯事的に繰り返しても何もできないアメリカは、これからも懲りることはないのでしょう。

 日本では、京都アニメーション放火事件で35人もの命が失われました。3月には、スクールバスを待つ子供たちを狙った事件がありました。フランスでは、群衆にトラックで突っ込むテロがありましたし、銃だけが要素ではないのは明らかですが、お手軽に大量殺人のできる道具が、簡単に手に入ってしまう状況の異常さに気付かないのは、アメリカ人だけではないでしょうか?

 それぞれ普通に人生を生き、いつものように学校に行くはずだった子供達とそのご両親、仕事が終われば家に帰るはずだった人々、週末の買い物中だった人々、恨みを買うようなこともしていないのに、ウランでも恨み切れないでしょう。亡くなられたご本人たちだけではなく、その周りの人々も、全く見ず知らずの他人に急に人生を途中で断絶された人々です。本当に幽霊が存在するなら、その無念を伝えてほしい。私は、キリスト教徒じゃないんで、無差別殺人の犯人を「赦します」とか、罪を憎んで人を憎まずとか無理!


 2.未然防止は出来ないのか?
 私が好きなSF作家、フィリップK.ディックの作品には、未来予知の超能力を使って、事件を未然に防ぐというモチーフがよく出てきます。トム・クルーズ主演で映画化された「マイノリティー・レポート」は、その代表作ですが、超能力はなくとも、大量の情報がインターネット上であふれる現代、わざわざマニフェストを流していた犯人に対し、予め何らかの手段を取ることはできなかったのだろうか、と、無念に思います。京アニの事件の犯人は、何度も脅迫をしていたそうで、日本における危機感の欠如(まさか、こんな事をしでかすとは!)が、要員の一つでもあったように思いますが、アメリカでの大量無差別殺人の多くは、いきなり何の兆候もなかった人物が銃を乱射するのではなく、サインを流し続けた末の犯行です。

 今年3月、ニュージーランドのモスクでヘイトクライムによって51人が亡くなられた銃乱射事件の前に、犯人は反移民マニフェストを投稿していました。今回のヒスパニックをターゲットにした、エル・パソの犯人も同様に「メキシコ移民がテキサスを侵略する」等のマニフェストを投稿していたことが分っています。

 ツイッター等のSNSを監視することはできないのか?フェイスブックは、投稿された動画をモニターし、事前にブロックしているそうです。もちろん、人間の仕事ですから、ニュージーランドでの犯人が投降したライブ映像が流れてしまったりもするのですが、ツイッターもまた、人の目で白人至上主義者や白人国家主義者のツイートのチェックをしているのだそうです。もし、ここでAIを使えたら?でも、アメリカ人のこと、言論の自由だとか、プライバシー侵害とかで大騒ぎになってしまい、とても実現でき無さそう。それに、真っ先にトランプのアカウントが凍結されてしまいそう。

3.白人テロ
 私が今週末の事件の速報を聞いたのは、たまたま、どちらも運転中のラジオでしたが、「犯人は白人男性」と、報じられていたのが気になりました。通常、アメリカでは、犯人の人種をわざわざ特定して報じるのは珍しいからです。ここには、昨今のアメリカ国内における、人種間の断絶、白人至上主義の台頭があるのは、疑う由もありません。今年3月、ニュージーランドのモスクでヘイトクライムによって51人が亡くなられた銃乱射でも、。メキシコ国境のエル・パソでは、アメリカ合衆国建国の以前から、白人入植者とメキシコ住民が、共に独特の文化を共有していたのに。

 今回の件に対し、トランプは「Hate has no place in our country」とツイートしましたが、お前がHATEそのものだ!と、私は言いたい。移民を、性的暴行犯、テロリスト等とののしり、彼らが「侵入」「はびこる」といった言葉を何度も使っています。ただし、この「移民」は、白人以外限定。移民そのものではなく、有色人種への差別的発言を繰り返しているに他なりません。その下には、差別のみならず、憎悪が感じられます。
 先月、有色人種の民主党新人議員4人に対し「米国が嫌なら国を出て行け」とツイッターしたことも批難の的になりましたが、その後も正当化を続け、さらにエスカレートさせている。トランプの集会では、「彼女を送り返せ」と連呼が起こり、「(国境で)移民を撃て! 」と叫んだ支持者の発言を笑っている動画も上がっている。2017年の人種間断絶に対するデモの最中に、過激派の白人至上主義者が車で突っ込んで死者が出た時にも、「両方悪い」と、白人至上主義への非難を避けました。

 大統領自身が、人種差別、白人至上主義、白人以外の移民排除を助長し、国を分断しています。島国で、遅くとも弥生時代から、ずーっと同じ人種で、同じ文化を共有し、基本的に同じ言語を話してきた背景を持つ私ら日本人とは全く状況の違う、ほんの400年前に開拓精神のある祖先たちが海を渡って以来、築いてきた国であることを誇りとしているアメリカで 、そのリーダーたるべき人物(しかも、その妻は移民)が、人種間の分断を煽り、憎悪を振りまいている。これこそが、真のアメリカの悲劇だと思います。

デイトンの乱射事件でいとこ二人を失った男性の、「トランプよ、ここに来い!」と、訴える動画。右上クリックで再生(新しいウィンドウが開きます)

daytoncnn.jpg


 一層の分断とテロ、報復行為が無いことを心より願います。毎週、毎週、こんなニュースばっかり、本当に嫌!
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sirowaniko

Author:sirowaniko
アメリカ生活も30年超え、NY、MA、DC、TX,CO、CAを経て、今はオハイオに犬猫と住んでます。蚊と蚤とトランプ一味以外の生き物が好き。

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