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Archive | 2023年07月

遊び呆けております

 若息子が遊びに来ているので、毎日、遊び回っています。いやアンタ、いつも遊び回ってるでしょ!なのですが、通常以上に遊んでます ( -`ω-)キリッ

また、少しずつ遡って記事にしていきます。自分にちょって大事な記録ですからね~


お知らせでした。
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筋金入りだった「バービー」

 話題の映画、「バービー」を観ました。それなりに前情報は得ていましたが、有名なあの映画のパロディーに始まるオープニングから「そう来たか!」と驚き、最後のオチにも思わずニヤリ。そして、敢えてそういう戦略なのでしょうが、お話に重要な役割を果たす母娘は一切、ポスター等で取り上げられておらず、ある意味では予想外な、一方では前評判通りの強いフェミニズムのメッセージで予想通りな作品でした。無神経な「オッペンハイマー」との関連のせいで、日本では不快感を覚える人も多いそうですが、作品自体は無関係ですし、とっても楽しい映画だったので、日本でもたくさんの人が楽しめればいいなって思います。

以下、ちょこっとネタバレ~

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大統領バービーがミシェル・オバマさんっぽいと思うの

 古来、女性は母だった。女の子は赤ちゃん人形を与えられ、疑似母親として振舞うのが、女の子の「遊び」でした。そこへ、女の子だって何にでもなれるバービー登場!1959年3月、マテル社の共同創業者一人、ルース・ハンドラー女子の発明による、バービー人形が売り出されました。今や、あらゆる職業に加え、人種も多様化、障害を持つバービーも。

 映画の主人公、マーゴット・ロビーが演じるのは、「典型的な」バービー。毎日が最高にご機嫌で完璧なバービーランドに住んでいます。仲間は大統領バービー、医者バービー、判事バービー、記者バービー等々、人魚バービーなんて人外も。昨今の多様性重視を受けてか、なぜか弁護士バービーちゃんだけ太目。ボーイフレンドのケンも多種多様で、ライアン・ゴズリングのケンは「ビーチ・ケン」です。あくまでも「ビーチ」のケンなので、海には入れませんw

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おはよう、バービーランド

 バービーランドでは毎晩がガールズ・ナイト。朝起きてからおやすみまで、ひたすら楽しく明るく過ぎていくのですが、ある朝、典型的バービーが起きたら、完璧じゃなくなってる!これは大問題。「へんてこバービー」が言うには、夢を失った自分の持主を見付けて、再びバービーは完璧だと信じさせることが必要だと。勝手についてきたケンと共に人間界のロサンゼルスにやってきたバービーは、人間界はちっとも完璧じゃないし、楽しい事ばかりじゃないと知ります。自分の持ち主と思しき中学生のサーシャは、バービー人形で遊ぶのなんて5歳までだよね~、と、嘲笑するし。

 このサーシャと、サーシャの母親でマテル社で働くシングルマザーのグロリアが、実は真の主人公と言っていいほど、ちょっと意外な展開に。フェミニズムを謳い上げる内容なんだけど、ゴリ押ししてくるわけでもなく、気軽に笑って観られる映画です。マーゴット・ロビーはとってもチャーミングだし、バービーたちのファッションやバービーランドを楽しめて、劇場で見てよかったと思うの。

 ケンはバービーのおまけに過ぎないけれど、実は人間社会は男性優位であると知ったビーチ・ケンが、家父長制の価値観を持込んでバービーランドを引繰り返し、ウィル・ファレルの社長が率いる全員男性のマテル社重役たちは、事態の収拾のためにバービーランドにやってくるけど、女性の価値を理解していない。お隣の韓国では興行的に失敗だったそうですが、そんな所が男性蔑視的に取られたのかも?ケンたちはひたすらおバカだし、マテル者の重役たちも完全にズレてるし。

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ヘレン・ミレンはナレーターで、映画には顔出ししません
グランマ・バービーがあってもいいと思うんだけど

 ケン役をはっちゃけて演じていたライアン・ゴズリングさん、バービー人形で遊ぶ年代の娘さんが二人いるそうで… 今後のゴズリング家における父の尊厳が少し心配だわwww



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エリ‐さんのこと

 日参サイトの「刺繍 de ねこ」様とこのジェイク君がお家に来て9年の記念日ということで、同じ年に来た我が家のエリーさんも、もう9年目かと驚きました。毎年、ジェイク君記念日で自分ちの猫の年齢を思い出し、毎年驚いている私。エリーさんが来たのは、ジェイク君より1か月ちょっと早くて6月21日でした。そして5週間後に、おんにゃの子だと思っていたエリーが♂と判明し(昔の記事)、初めてのプレゼントを贈られた記念日。

 私にはとっても楽しい都会のアパート生活は、ネズミも蛇もいなけりゃ、窓の向こうに鳥たちも来ない。エリーさんにはとっても退屈だと思います。じゃらしにレーザーポインター、ネズミのおもちゃも全く無視。これじゃ、どえんになっても仕方ない(´;ω;`) 彼は猫なのに、箱や袋には興味なく、高いところに飛び上がらない。ずっと犬と一緒だったから、行動も性格も犬化しちゃったのかも??

 今秋には田舎生活に逆戻りなので、エリーさんには少しは気晴らしができるようになるかな?

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このお腹である。ところでエリさん、暑くないの?



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ああ、泥沼… ハンター・バイデン疑惑 vs.トランプ訴訟

 他の共和党簿大統領候補の誰もが、トランプに全く追いつけない中、現バイデン大統領の痛いところを突く動きも活発化。トランプが様々な犯罪で罪に問われているのなら、こちらも胡散臭いところを狙いましょうと、大統領の不肖の次男、ハンター・バイデンへの追求が強まっています。結局、ずっとトランプ支持の陰謀論者をときめかしたノート型パソコンも、入っていたのは本人のヌードやポルノという双方にとって恥ずかしい結果に。

 「ハンター・バイデンのPC」はトホホでしたが、まだまだネタは豊富です。26日には税金未納(脱税)と銃所持(コカイン常習者の銃購入・保持)容疑で訴追され、罰金と保護観察処分で済むと思っていたら、当て外れ。実はこの、東部デラウェア州デラウェアの連邦地裁のノレイカ判事は、2017年にトランプに指名された裁判長なんですねぇ。どっひゃー!

 ここで終わりにならなかったことで、公判が長引き、マスコミが騒ぐほど、共和党にとっては政治的に利用する機会も増える。共和党下院議長のマッカーシーは鼻息荒く、バイデン大統領弾劾に向けて米下院の司法委員会など3委員会が、ハンター個人のみならず、バイデン一家の不正疑惑を追求するとしていますが、トランプが自分が弾劾させられかけたんで、その恨みで後ろから突っついてそうです。マッカーシー議長は承認まで15回も投票やり直しましたが、承認票を入れて貰う代りに、色んな交換条件を突きつけられたんでしょうwww

 バイデン爺さんは、ハンターの婚外子を正式に自分の孫として認めるとともに、息子が罪に問われても赦免してやらない!と、公表。優秀な長男が早逝してしまったのが本当に残念ですね。大統領一家は、ロイヤルを持たないアメリカにおいては、期間限定の王室のようなものですが、「お兄様はご立派なのにねぇ…」ってトコまで日英に倣わなくてもいいのに。

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 国を率いるリーダーの選択で重視されるべきは、その人物が何を国民にもたらすかだと思うんだけど、アメリカは両党、両候補ともに、純粋に国民第一にできない重い枷を課せられており、大統領選も醜い個人攻撃に終始しそうで、これが本当のトホホだわ…orz


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オッペンハイマー(超ネタバレ注意)

長いので、映画に興味のある方、ネタバレも大丈夫っ方てのみ付き合ってください。

 クリストファー・ノーラン監督作品はIMAXで観ようと決めてる私、今作もIMAX劇場でかかっているうちに見に行きました。川向いのシアターはスクリーン数20面の大劇場ですが、IMAXシアターは1件だけで、週毎に代わっちゃうので。音響効果が凄まじく、お腹に響くのでドルビー効果の劇場は正解だったけど、3時間のIMAX画面はちょっとオバー・キルだったかも。顔のアップのシーンが多いし。

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 原作は、カイ・バードとマーティン・シャーウィンによるピュリッツァー賞受賞の「American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer(アメリカのプロメテウス:ロバート・オッペンハイマーの 栄光と悲劇)」(2006)です。天界から火を盗んで人類に与えた罪で永遠の責苦を受けるギリシア神話のプロメテウス、映画中でも少し触れられていましたが、第ニ次世界大戦中に70人の科学者による核兵器開発チームを率い、原子爆弾という未曽有の大量殺戮兵器を創り出してしまったオッペンハイマーに重ねています。

 映画は幾つかの時系列を行き来するので少し判り難いところがありますが、基本的には、オッペンハイマーが核兵器開発チームのリーダーを任されるまでに一時間、ニュー・メキシコ州のロス・アラモスでの群像劇とテストの成功に一時間、そして戦後のアカ狩りのターゲットになって密室の聴聞会と、、原子力委員会議長だったルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)の商務長官就任承認をめぐる議会の聞き取りを中心に一時間という三部構成。誰が誰なのかを理解するために、予めマンハッタン計画に参加した主要科学者達について知識を得てから観るべきだったと後悔しました。

 日本では公開が未定だそうですが、あくまでもオッペンハイマーという人物の伝記であり、原爆が主題ではなく、むしろ政治劇に近い。日本で公開が決まらないのは、原爆投下日を目前にした時期的な考慮とか、被害者となった日本への考慮とか憶測が流れていますが、ジョン・ウィックなんかも、日本での公開がずっと後だし、珍しいことではないのでしょう。この映画を原爆を描いた作品だと思って身構えたら肩透かしを食うかも。単にIMAX劇場の順番待ちだったりして。あ、私自身、父が疎開先の長崎で被爆した二世ですんで、被爆者の心情云々とかって怒鳴り込んで来ないでね。

 合間に共産党員のジーン(今を時めくフロレンス・ピューが大胆演技!)との情事や、背景も言動も行動も強烈な妻キティー(エミリー・ブラント)との出会いやオッペンハイマー家の事情が語られます。キティーは自分の子供たちを愛せなかったようで、息子のピーターは友人に預けられたり、「養子に欲しい?」なんて言われて、母とのシーンではヒステリックに泣いてばかり。そんな息子はどうなったかが気になって調べたら、ピーターは学業は上手くいかなかったものの、父の農場を引継ぎ3人の子を得たと知って安心。でも映画では一瞬出てきた赤ん坊の娘、トニは33歳で自殺してしまったそうです。

 アメリカのネットでは、映画で描かれた内容の真偽の考察が花盛りですが、まずは背後に写る星条旗の星の数が間違っているというもの。細かいなぁ。私的には頻繁に登場する黒板の難しい方程式の数々、私の頭には文字の羅列に過ぎないのですが、色々と凝るノーラン監督だから、きっと本当の計算式だと思うので、誰か簡単に解説して欲しい。孫のチャールズ・オッペンハイマーさん(ピーターさんの息子さん)は、指導教官のりんごに毒を仕込んだエピソードは真実ではなく、そこが気に入らないそうです。主人公の変人ぶりや偏屈さ、突飛もない行動に出るところ…何を狙ったのか解らないけど、自分では一人でも手を下せなかった男が、間接的には50万人以上を殺したってこと?

 映画なので、面白い絵を見せるのも大事な要素。トラックに引っ張られてロス・アラモスからドナ・ドナされるリトルボーイとファットマンを複雑な表情で見送るシーンも、実際には爆弾は他の場所で組立てられたので創作。トリニティ・テストの場面は、実際の爆弾爆発が映りますが原爆ではありません。当たり前だろ!なんだけど、アメリカじゃ疑う人が多いのも、原爆舐めてるなって思う。んなもん、どんな状況下でも本当に爆発させられるわけ無いでしょ!さすがは冷蔵庫に入ってたら助かるって思ってる国だ。バーベンハイマーとかって、「バービー」と一緒に二作続けてみるのがトレンドらしいけど(タフだねぇ)、ピンクの原爆雲のミームを創れるのも、原爆の怖さを全く分かっていないからなのですね。この映画は、原爆の本当の恐ろしさを知らしめる折角の機会だったはずなのですが…

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どなどなど~な~、ど~な~、原爆は行くよ

 CGは使わないって売込みだけど、映画が始まって直ぐのオッペンハイマーの頭の中の宇宙や、ラストの地球の映像はCGなんじゃないの?なぜ誰も突っ込まない?因みに、原爆投下後の広島のフィルムを見たオッペンハイマーの頭の中での惨状へのイメージはあるけど、実際の広島、長崎は全く映りません。製作側は怖じけついたかね?それを見せずして、この映画の意義は何?って思っちゃうけどね。オッペンハイマーは本当に更にパワフルな水爆の開発に反対したのか?そして、「Now I am become Death.(私は死神になった)」という引用は、どんな心情での言葉だったのか。結局、原爆雲がピンクのミームにされちゃう程度の認識しか生まなかった。

 戦後を描く部分では、主人公は主人公は原子力委員会議長のルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)に重点が移ったようでした。キリアン・マーフィ‐のオッペンハイマーも素晴らしかったけど、このダウニー・Jr.の演技は凄い評価されると思う。オッペンハイマーをプリンストンの高等研究所に誘い、アメリカ発の量子物理学専門の研究所を開かせたのはストローズ。アインシュタインとオッペンハイマーは、プリンストンでの同僚。ストローズはなぜオッペンハイマーを裏切ったのか?
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ストラウス中心の場面では白黒になります

 ノーベル賞受賞科学者のアーネスト・ローレンス(懐かしのジョッシュ・ハーネット、相変わらずかっこいい)は、劇中でも重要な役割ですが、57歳の若さで急逝しています。そしてオッペンハイマーも、1967年に62歳で喉頭がんによって亡くなっています。劇中では常に喫煙しており、癌もそのせいと見せたいのかと疑ってしまうけど、核爆発実験の影響はどうだったのでしょう?何も知らされなかった実験地周辺住民や、テスト参加者の中には、その影響に苦しんでいる人たちが未だアメリカ政府に無視されているそうですが。

 最初と最後に重要な役割を果たすアインシュタインが、短い3場面だけで印象的な役なのは判っていても、実は同じく3回しか登場せず、うち2回はを台詞もないのに美味しい役割を持っていくのは、デビッド・ヒルを演じるラミ・マレック。アカデミー賞役者の彼が意味ありげに画面の端で存在を印象付けてると思ったら、3度目の登場で「キタ━(゚∀゚)━!」でした。

 ひたすら、ロバート・オッペンハイマーという複雑な人間を追った映画のラストはとても怖い。これを見せたくての3時間だったのかな。

 ところで、マンハッタン計画に有能な科学者たちが集まったのは、オッペンハイマー含め、多くのユダヤ人科学者がナチスのユダヤ人に対する弾圧に講義したためと言われており、オッペンハイマーがユダヤ系であることが作中でも重要な要素として描かれていますが、演じたキリアン・マーフィーがアイルランド人で、ユダヤ系ではないことを批判する向きもあるとか。こういった昨今の傾向は一体どこまで行くんでしょうかね?それを言い出したら、「バービー」だって、人間なのに人形の役してるとか、人形に対する配慮が足りないってなるやん…



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いつまでも都合のいい女でいると思うなよ!21世紀の蝶々さん

 満を持して!シンシナティ・オペラの新作「マダム・バタフライ」の世界初演を見てまいりました!!


 沈黙の中、アパートの一室で、どうやら上手く行っていないらしいカップル。女性は怒ったように去り、男性はおもむろにVRゴーグルを付けてゲームの中へ没入していく。そして序曲へ。オペラの定石を覆すオープニングです。

 バーチャル世界では彼は白い制服も眩しい海軍士官、結婚仲介役のゴローはファンタジー世界の案内役。家は彼の思うままに形を変えますし、999年契約で100円で芸者を身請けし、毎月いつでも契約破棄可能。蝶々さんに仕える料理人、下男、そして女中のスズキは、日の出、香露、浮雲と紹介されるけど、ピンカートンは、面倒臭いから、ワン、ツーとスリー、でいいや、と。この軽さも、実存しない世界ゆえの気楽さと解釈できます。世界中の美女たちをモノにしたい、転んでもただで起きないぞ、アメリカ万歳、な究極のチャラ男、ピンカートンは、なろう世界のチート能力主人公、一方、蝶々さんは条順で可憐で一途に自分を慕ってくれる、夢のアニメ美少女。彼女の髪は紫色、スズキは緑色なのもゲームっぽい。因みに、蝶々さんのお母さんを演じるのは大柄の黒人女性、マンマ・ミーア!

 蝶々さんは15歳ですが、数え年でしょうから実際には13か14歳。ステージデザインの西川公絵さんが、先日のパネル(下の記事)で、蝶々さんの自刃を日米における若者の自殺に対する懸念と関連付けて語っておられましたが、見過ごされがちですが蝶々さんは夢見る少女、ホンの子供なのです。ピンカートンと結婚する前日にキリスト教に改宗してしまい、結果、家族や親戚の怒りをかって縁を切られてしまうのですが、蝶々さんには事の重大さが解っていなかった。ただ、アメリカ人の花嫁になる喜びとピンカートンの甘言に溺れてしまった。

 第二幕もまた、現実世界で始まります。ゲームに没頭するピンカートンと同居している彼女(ケイト?)との諍い、怒ってベッドに入ってしまった彼女に残されたピンカートンは、再びVRゴーグルを取り上げバーチャル世界へ。ピンカートンが去って3年、未だ現地妻のもとに帰ってきた外国人夫なんて居ないと諭されても、金持ちのヤマドリとの結婚を勧められても、かたくなにピンカートンを待ち続ける蝶々さん。その蝶々さんに息子がいることを知らされたピンカートンは動揺します。ゲームが自分の思わぬ方向に進んでいる。新たに登場したピンカートンの妻、ケイトもまたバーチャル世界の登場人物。その存在にすべてを悟った蝶々さんは、我が子をケイトに託して自刃。現実世界のピンカートンが夢の世界に逃避するように、蝶々さんもまた、アメリカ人夫に愛されている自分というファンタジーの中に生きている。蝶々さんは、自己犠牲のためではなく、自分のファンタジーに殉じた、と、私は解釈しました。が!

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アスカちゃん、おるwww

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蝶々さんの髪は紫色

 絶望するピンカートンを傍目に、もうアンタの妄想には付き合ってられないとばかり、蝶々さんは衣装とカツラをかなぐり捨て、バーチャル世界から出て行ってしまいます!お見事!!

 ゴージャスな衣装、夢のようなバーチャル世界とモダンな現実世界をスムーズに行き来するスマートな舞台デザインと、そこへドラマを加える照明、素晴らしい!今回、3階席からの観劇でしたので、オーケストラ席がよく見えたのですが、原田慶太楼氏の指揮はしなやかにして優雅。つい見惚れて、いかん、いかんと舞台に目を戻し。蝶々さん役のカラー・ソンさんは華奢で若々しく、可憐な蝶々さんにぴったりでした。スズキは唯一の日本人キャスト、加藤のぞみさん。二人の掛合いの「桜の枝を揺さぶって」、一番好きかも。

 蝶々さんの花嫁同中に付添った女性たちの花魁のような豪華な衣装、一方でゴローや領事のシャープレスの衣装は未来的。美術館かどこかのギャラリーで展示してほしいわ。じっくり見たい。たまたま、この時期にシンシナティに居て、この初演を見られた私、とっても幸運です。ぜひ、日本に逆輸入して、日本公演を叶えてほしいですよ。



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い~かないで~、いかないで~♪

いかあった。

 今年のシンシナティ・オペラの公演の目玉は、「蝶々夫人」です。アメリカ人海軍士官、ピンカートン野郎は、軽い気持ちで15歳の蝶々さんと結婚し子供まで作った上に、とっとと本国に帰って結婚し、そのアメリカ人嫁を連れて日本に来やがり、息子よこせとか言いやがるんで、蝶々さんは自刀してしまうというプッチーニのオペラ。美しいアリアで有名だけど、女性蔑視、アジア差別な内容ですが、初演は1904年だから。でも、今年の「Madame Butterfly」はちょっと違う。今週土曜日に初演です。楽しみすぎる。


私世代には、このCMでお馴染み。私的に蝶々さんのイメージで固定
純粋さの被害者ではなく、一晩中飲んじゃう強い女

 今作は、オール日本人+日系人メンバーによる新しい視点から再構築された、現代のファンタジー世界を舞台に、夢と現を行き来するストーリー。指揮は日本人の原田慶太楼さん、舞台監督は日系4世のマシュー・オザワ氏です。そのオザワ氏と、衣装デザインのマツシママリコさん、照明のユキ・ナガセーリンクさん、舞台美術の西川公絵さんを交えたパネルが、マーカンタイル・ライブラリーで開かれました。マーカンタイル・ライブラリーはシンシナティのダウンタウンにある歴史的な会員制図書館で、ここを訪れた際の記事は、こちら、「隠れた秘宝?シンシナティのマーカンタイル図書館」です。
 
 多くの人が来ており、このオペラへの期待の大きさが伺われました。意外と日本人とは出会わず、アジア人の方に話しかけても韓国、中国の方で… 実は、上の桃屋のCMを知っているか聞いてみたかったんですが。オザワ氏はよく知られたオペラの内容を大きく変えて語り直すことで勇気がいったけど、非難を覚悟で世に問い出す。ラストに大きなサプライズが待っている、とのこと。このオペラにもいくつかのバージョンが有り、今回は、ピンカートの奥さん、ケイトの役割も大きなロシア・バージョンだそうです。ケイトさんも、旦那が実はオレ、日本で結婚してに子供いるんだわ、って、「はぁ?」ですよね。

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 そして、西川さんは蝶々さんの自害に注目して日米の若者達の自殺について触れ、スライドで披露された衣装のコンセプト図も素晴らしく、土曜日の公演が待ちきれないよ!パネルに参加した皆さんは、未だ舞台の準備の中を抜けてきてくださったので、質疑応答等はありませんでしたが、主人公の超チュさん役が日本児ではなく韓国人歌手の方というのは、ちょっと引っかかるなぁ。日本のソプラノに歌って欲しかったかも。パネルのあとに、代役控えのトンガ系ソプラノ、サーン・ハラホロさんが「ある晴れた日に」を披露してくださいました。勿論、素晴らしかったけど、スタッフは日本人+日系スタップで揃えたのに、代役含め日本人/日系じゃないって…我が儘かな…

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このオペラに託したメッセージやデザインについて聴くことが出来ました



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暑さに負けた、いえ、冷房に負けた昭和枯れすすき

日本の猛暑、凄い!

 己の語彙の貧しさが悲しいけど、もう、「凄い」としか言えない。しかも日本は湿気も高い。皆様、熱中症や冷房病にお気をつけください。日本に比べれば鼻で笑う程度ですが、シンシナティでも先週は気温が上がり暑い日が続きました。そのせいか週半ばから、体がだるく鈍い頭痛でスッキリしない。倦怠感で朝もベッドから起き上がるのが辛い。金曜日には、タブレットでネットサーフィンしたり、本を読んだり、怠惰の限りを尽くしましたが、全然元気でない。

 金曜のナイター終了後は、地元球団レッズが勝とうが負けようが関係なく花火が上がるので、だいたい9回表には犬の散歩に出て花火見物をするのですが、先週末は窓から向かいのビルに映る反射を見ました。しかも、金曜から球場から1ブロックのところでお祭りをしていたのです。いつもならものすごい勢いで駆けつけるよね。我ながらどうした?と、思い返せば、ずっとクーラーのかかった室内に居たので冷房病かも、と。「温泉の素」を入れたお風呂にじっくり浸かって、香辛料増し増しのカレー作って食べて、夜間の冷房の温度を上げたら、翌朝いきなり復活しました。やっぱ冷房のせいだったかな。

 元気になったら出かけたがる私、まずは、癒やしを求めてタフト美術館に行く。目当ては特別展の、19世紀から現代の女性写真家による写真展、Modern Women/Modern Vision

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静かな展示室。いい展示なのにお客いない(写真の人は監視員さん)(´・_・`)

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20世紀を代表する写真の一枚、Dorothea Langeの「Migrant Mother」(1936)

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モデルとなったフロレンス・トンプソンさんと娘たち(1978)
こんな追加説明には、とても好感が持てます。

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澤田知子さんの代表作「ID400」


 もう一つ開催中の特別展は、19世紀のフランス風景画家、シャルル=フランソワ・ドービニーが、家族で過ごしたアトリエ船での夏を描いたエッチング集、「Voyage en Bateau(船旅)」から、一部屋だけの小さな展示で、各作品もカード程度で小さく、展示室には虫眼鏡が備えられていましたが、ユーモアのある作品を虫眼鏡で細々見るの、楽しかった。

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これ好き!魚釣りの得意な息子が街に帰る(背後の汽車に乗ってる)ので喜ぶ魚たち

 ドービニーさんは、後の印象派の若い画家達の先達として大きな影響を与え、また彼らを高く評価して世に出る機会を支援した人。このエッチング集からも、良い人っぽさが伝わってきます。お庭のカフェでコーヒーを頂き、元気も出たよ!とてもゲンキンな私なのでした。


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アメリカのチップ文化、行きすぎじゃない?

 チップを考えなくて済むのは、日本でホッとする事の一つです。よほどサービスが悪かったら、レシートに一言文句とイケズなチップで復讐できるという利点(?)はありますが、昨今はそこまでムカつくような事もなく。昔は、オマイ、私が東洋人で女性やからってなめとるんかいっ!ε=ε=(怒゚Д゚)ノ なんて事もありましたが、今時そんなナメた真似したら評価サイトでボロクソ書かれたり、SNSで拡散されたり、恐ろしいことになるもんね。まぁ、逆にお客側も晒される可能性ありで、凶器にも成り得るSNSも、一方で社会の平和に役立つこともあるのかも?と、思いますが。

 チップが高くなった、今までチップ不要だったファーストフードやセルフサービスのカフェテリアまで普通にチップを示唆されるようになったのは、コロナ禍中からでしょうか?ここ数年で、コンタクトの少ないカードやスマホ決済が拡がり、昔ながらのテーブルに現金でチップを残す慣習から、カード支払時に一緒にチップも追加するの事が多くなってきました。

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様々なパロディーでもお馴染みの「Nighthawks」ですが

TippingCulturePart.png
チップの要求に目ェむいとります

 この絵の通りに、お支払いはこちらで、なタブレットに、最低15%とかのチップをお勧めされてしまう。ただでさえインフレ、そこへセルフサービスでもチップで2割増しとかで、消費者から「ええ加減にせぇ!」という声も。正直、パン屋さんで買ったパンを袋に入れてもらってもチップはいくらで?と言われても、お会計すらしない(バーコード、ピッピッだけ)のにチップかよ?とは思いつつも「No tip」を選ぶのって気が引けてしまう…

 そもそも店員さんがチップに頼らなきゃならない状況がいかん、という声は私が初めて米国に来た80年代からあり、ずーっとダラダラ議論されてきたのですが、問題だ!問題だ!と騒ぐだけで動かないアメリカのあるある。今まではチップがあるからは最低賃金対象外だったサーバーの給与も対象内にする議論をしている州もありますし、アメリカ人がやりすぎだと感じている今度こそ、しっかり議論してほしいですね。


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歴史的オルガンの音色

 シンシナティ音楽堂の気になる存在、近年になって寄付によって修復され、大会場に展示されている古いオルガン。録音ですが、その演奏を聴く機会がありました。元々、パイプオルガンにくっついてたものかと誤解していた(5月23日の記事)のですが、そうではなく、映画上演時の演奏のために設置されたものだそうです。でも、直後にトーキー時代が訪れ、オルガンは倉庫に長年押しやられていました。

 以前住んでいたコロンバス北部の田舎町、デラウェアにはオハイオで最も古い、1916年以来経営している歴史的映画館があり、劇場には名残のオルガンがおいてありました。長い間、日の目を見なくとも、今やピカピカで演奏も可能なオルガン、音を奏でることは出来なくてもマスコットのように劇場に鎮座するオルガン。オルガンの運命も様々。

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デラウェアの劇場。ここでトップ・ガン マーベリックを観た。
レトロ過ぎて、結局、街の大きな映画館で見直した

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修復されたオルガン


上のオルガンで演奏した録音



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Profile

sirowaniko

Author:sirowaniko
アメリカ生活も30年超え、NY、MA、DC、TX,CO、CA、OHを経て、今は南部のジョージアに犬猫と住んでいる普通のおばさん。蚊と蚤とトランプ一味以外の生き物が好き。

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