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I cry for you, Argentina(オランダも)

 先月半ばのアルゼンチン大統領選で、派手なパフォーマンスと突き抜けたマニフェストを掲げた極右のハビエル・ミレイ氏が勝利しました。この選挙はアメリカでも注目されていました。負けたセルヒオ・マサ候補は与党、祖国同盟のメンバー。経済が完全に破綻した今の惨状を引き起こした張本人です。底辺対決というか、最低な候補からどっちか選ばねばならないというタフな選択の結果、「アルゼンチンのトランプ」が次期大統領として選ばれました。長らく根付いていた「Don't cry for me, Argentina」なエビータさんの旦那、ペロンの敷いた左派体制への反発が、ミレイ氏の勝利につながったとの見方もあります。

 チェーンソーを振回し、側近はクローンの5匹のマスティフ犬という、とにかく人目を惹くショック療法的売り出し方と過激な発言、政治経験はなく、テレビタレントで顔は元々売れていたというのも、誰かさんを彷彿とさせます。曰く、「中央銀行を爆破する」、気候変動は「社会主義者の詐欺」で、通貨のペソを廃止してドルを公式通貨にする、とのココロは、破綻した自国経済を抜本的に変革するってことらしいけど、銃器自由化、堕胎権廃止、同性結婚反対、陰謀論追及…どっかで聞いたことのある内容です。

 そして、オランダの下院選挙でも、極右政党が第一党となって、「オランダのトランプ」と呼ばれるヘルト・ウィルダース党首が連立政権樹立を目指しています。昨年は、イタリアでも極右政党が第1党となってジョルジャ・メローニ党首が首相になっています。フランスでは極右のルペン候補を破って、現役マクロン大統領が続投していますが、これもかなりの激戦でした。

 お笑い種候補だったトランプが、あれよあれよという間に大統領になってしまった悲劇が繰り返される可能性、まさかのトランプ再選があり得るかもしれないという恐怖は幻想ではありません。アメリカという振子は、いつも大きく一方に振りきってしまいますが、リベラルへの反動で思いっきり保守に振れてトランプが選ばれ、いくらなんでも、これじゃダメだとのアメリカ国民の判断が穏健なバイデン大統領を選んだ。ところが、今、犯罪者トランプは共和党候補一強。

 アメリカでは、人工中絶禁止に執着する保守派への危機感から、先の選挙では民主党が議席を増やしましたが、表面では穏健派で女性の権利を尊重する常識人のふりをしていても、内心では中絶は絶対に許せない、LGBTQもブラック・ライブズ・マターも大嫌い、南米やアフリカからの移民は絶対来るな、な、思いの人が多いのだろうと思います。それにしても、派手なパフォーマンスのポピュラリストが権力を握り、人気取りの耳触りの良いでっちあげ政策になびくほどに、人類は幼稚化してしまったのでしょうか?

トランプは自分の政敵を害獣呼ばわり
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ペストは誰でしょうね

 それでも、国民が自分たちのリーダーを選べる、選ぶ選択肢があるだけ、まだマシなのかしら... まともな対抗者がいない安定政権に胡坐をかいた政治家が、国民の耳に甘言を囁く必要すらない、大多数の国民の希望する事案は棚上げ、非難にも聞く耳持たずなどっかの国に比べれば…



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余裕があるけど無い(単なるボヤキ)

 時間的には余裕があるはずだし、急務もない。のんびり長閑に、炬燵に潜ってのんべんたらりと生きているのに、毎日、ああ、今日もこれをしなかった、あれを終わらなかったと焦りながら、でも寝てしまいます。朝が自分基準での超が付く早起きなので、早く寝なくっちゃ!が、強迫観念になっているのかも。だったら、炬燵で丸まっていないで、行動しりゃいいのに,とセルフつっこみ。

 住環境が自分に及ぼす影響の大きさに我ながら感心します。思い返せば、なぜか、毎晩お酒が飲みたくなる家、甘いおやつが食べたくなる家ってあったのね。で、引越したら急に、興味を失ったったり。シンシナティに住んでいる頃って、苦手な寒さにも負けずに毎日、外に出掛け、家もきれいに保ち、常にもっと快適に過ごせるように気を使っていました。街中なので常に何かが起こっていてエキサイティングだった、車を運転しなくても色々な場所に行けた、運転しても駐車場に苦労しなかったというのが、お出かけしやすい要素だったと思う。

 アトランタに行けば沢山の楽しいことがあるのに、遠い、車停めるとこ探すの大変、そして何もかも高い!で、腰が重くなっちゃうんです。実は先月、満を期して!アトランタの美術館に行ったのですよ。既に会員になったので、駐車場も入場料も払わなくていいはず…が、たまたま一般入場料無料日に行ってしまって(知らなかった)、駐車場代も、この日は会員も20ドル。ヲイヲイ、会員優待日ってのは聞いたことあるけど、会員蹴出し日ってのは初めてだぞ、と、出鼻をくじかれる。アトランタの水族館や動物園は、世界でも指折りレベルとは聞くけど、入場料+駐車場代に目が回る。オハイオって恵まれていたのねぇ…

 加えて、アパートの部屋が心地良かったのが、きれいに保とう、好きなものに囲まれて素敵にしたいというやる気に繋がっていた。今のしょぼいアパートは、それが無い。黒カビだらけの窓枠、薄汚れたバスルーム、安っぽいキッチン… なーんか、もー、やる気がゼロ~ でも、その分、家賃も安いし、せいぜいお金貯めて、老人保健が受けられるようになって、引退したら納得のいく場所に住めるよう、無駄使いしないように頑張るわ。


 
 

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街のまん中の自然公園

 アトランタの南にある、Cascade Springs Nature Preserveに、お散歩に行きました。天気模様が怪しかったのですが、街に野暮用があり、そこまで行くならどこか寄り道できるところはないかと検索して見つけた自然保護区です。周りは普通に住宅地、アトランタへの通勤範囲内で、アパートでも建てれば需要がありそうな土地に、贅沢に保護区を作ってあるなんて嬉しいですね(後述:帰ってから調べたら、南北戦争の古戦場だそうです)。

 「連なった少滝の泉」という名前だけに、小さな滝があるらしい。ひたすら平面な中西部に住んでいたからか、「滝」には条件反射的に、「そりゃ、行ってみなあかんわ」と、反応してしまう。

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トレイル入口にあった祠

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石切場跡かな?

 軽くループを歩くつもりが、途中で車の鍵を落としたことに気づいて慌てました。もと来た道を戻ってみると、半分ほど返ったところで無事に見つかって感謝!焦った~!そのまま、同じ道を入り口まで戻り、ループを始点から逆方向へ。元の計画は、ぐるりとループを歩くと、最後にこの滝の予定でしたが、鍵を探すために逆回りしたので。

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泉の水を汲むポンプ小屋の跡らしい
Spring Houseって札が立ってました。

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せせらぎの音が

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3段滝です

 滝に向かって上流へ進んでいくと、果物等のお供え物が。さっきの小さな石造りの祠(?)にもお供えがあったし、なんだろうと思ったら、車道のトンネルから流れ出る滝の上に、聖母像がありました。さっき、落とした鍵を無事に見つけられたので、一礼。ぽつぽつと小雨も降ってきて、ちょうど、帰る頃合いでしょう。写真を撮ったり、鍵を探してうろうろしたりで、二時間程度森の中を歩いて万歩計では6キロ強でした。

 日曜日は4連休の最終日でした。ああ休日さんよ、お名残り惜しや~・゚・(つД`)・゚・


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リドリー・スコットの「ナポレオン」

 IMAXで観てきました。リドリー・スコットとクリストファー・ノーラン監督作品は、IMAXで見るのが私のジャスティス。でも、前回、同じシアターで「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を観たときに、スクリーン小さっ!と、思ったのですが、IMAXで普通の劇場サイズだった。椅子もしょぼいし、AMC系の画面が大きくて、ゆったりしたリクライニング・チェアの劇場は、きっとアトランタまで行かなきゃならないんだろうな。値段一緒なのに…ブツブツ でも、音響は良かったから、まぁ、いいか…(と、自分を慰める)

 ドンパチ・シーンは臨場感あるし、シネマトグラフィーの美しさは、大きな画面でこそ堪能できたと思います。衣装が豪華、お屋敷のインテリアや食器も豪華ですてき、お馬はかっこいいし、犬がかわいい。有名なナポレオンの絵画をそのまま表現したシーンもあって、おーという感じがすごくします(w)。

 基本的に史実を基にした歴史映画だから、大筋は分っているのですが、色々と詳細は盛ってるそうです。この映画でも、史実と違うって不満を見ますが、そんなん、フランス人もロシア人も現代アメリカ英語喋ってるとこで、史実云々って話じゃないやん、って思う。マリー・アントワネットがギロチンにかかって、ナポレオンが戦争して、派手に勝って、派手に負けて、また派手に勝って、さんざん負けて、最後はセント・ヘレナ島で死にました。

 ただ、ナポレオンは小男だったと信じられ、ナポレオン・コンプレックスという言葉があるくらいですが、映画でもホアキン・フェニックスの背が低いように強調して見せている場面がありました。調べたら、ホアキン・フェニックスの身長は173㎝で、ハリウッドの俳優さんとしては確かに低い。実際にはナポレオンの身長は、当時の平均だったそうです。ただ周りの将軍たちが大男揃いだったそうで。ヨーロッパの貴族って背が高くて体格がいいけど、代々、庶民より栄養のあるものをたらふく食べてたからだと思うので、ナポレオンは生まれついてのエリートではなく、叩き上げの軍人だということを表すにはいいかも。

RS Napoleon

 ナポレオン役のホアキン・フェニックス、流石に巧い役者さんなのですが、ナポレオンの脂ぎったイメージ(ごめんなさい)には、少し乾いてる気もした。「グラディエーター」の憎々しい皇帝の時ならぴったりだったかも、と、思ったら、もう20年も前の映画だったのね。ちょっと呆然。映画のテーマが、ナポレオンの人間としての弱さだと私は感じたので、意図したのかもしれないけど、ナポレオンという稀代の英雄の圧倒的カリスマが、戦場でも感じられなくて、いきなり兵がナポレオンに寝返っても、取って付けた感が。

 そして、彼がなぜ、そんなにに執着し、精神的に依存しているのかも分からない。あくまでも、私の感想ですけど。ジョゼフーヌ役のヴァネッサ・カーヴィーさん、たいそう美しく、ドレスも似合っておられたけど、こちらもカリスマが感じられなくて。そこを納得させるだけの演技だったら、アカデミー賞確定?

 劇場版は158分ですが、ジョゼフィーンと出会う前を加えた270分バージョンもあるという噂。もう、ミニシリーズですね。家でストリーミングでなら、追加部分を見たいかも、かな(?)派手なドンパチがあるならね。


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猫とともに去りぬ

 今年は日本の勤労感謝の日と、アメリカの感謝祭が重なって、アメリカでも木曜日から4連休です。ここ数年のコロナでの制限がなくなって(また増えてるんだけど、無視らしい)、コロナ以前以上の移動が見込まれ、しかも悪天候が重なって、道は大渋滞、空港は大混雑が予想されるとか… 大きな事故もなく、誰もが皆、平穏に家族も元にたどり着ければいいなと思います。これ以上、悲しいニュースはいらない!

 独り身でアメリカ人でもない私は感謝祭とは無縁なので、自分に勤労感謝で、朝寝して、昼寝して、その間はこたつでゴロゴロ、映画をストリーミングで見たり、本を読んだりの予定。気合い入れて、京極夏彦、17年ぶりの百鬼夜行シリーズ最新作、「鵺の碑」を買いました。単行本版で1280ページ、凶器になる。実物(紙の本)でずっしり感を満喫したいけど、日本から取り寄せたら送料が本の何倍にもなっちゃいますからね~(TT) でも、重くて疲れそうだし、電子書籍で正解なのかも。

 で、一緒に、以前から気になっていた本がセールになっていたので買いました。イタリアのユーモア作家、ジャンニ ロダーリの短編集、「猫とともに去りぬ」です。光文社古典新薬シリーズの第一弾として発行されたシリーズの一環、このシリーズ、表紙も洒落てるし好きなのですが、タイトルに猫があれば、更に気になっちゃう~

 実は、ロダーニのことは全く知らず、タイトルと表紙に惹かれたに加え、セールだったので買ったのですが、すごく好きな本だった!日本のお話とは、空気が違う。とぼけた設定に、オチがあるのかないのか分からない、唐突に突放されたような終わり方がクセになる。例えば、表題の「猫とともに去りぬ」は、引退して家族にないがしろにされている初老の男性が、柵を超えて猫になっちゃうお話。なんでも、猫の半分は元人間なんだって。他にも、沈みそうなヴィネチアを救うために魚になっちゃう話とか、ピアノとともに旅するカウボーイとか… 気の抜けるような読後感で、寝る前に読むのにぴったりでした。

 同じく、関口英子さん翻訳の、イタリアの幻想作家、奇想作家ブッツァーティの「神を見た犬」も私的に大当たりでしたので、もっとイタリアの短編集が読みたくなって、関口さんの訳した本を次から次にカートへ… セールだからって買ってみたら、呼び水になって沼にハマっていく、毎度のパターンですわ。トホホ…

イタリア、行きたいな~

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「猫」と来たら、すかさず自慢の仔猫写真貼る

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どんどん大きくなってるよ~



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ジョージアでも滝を見に

 昨日に引き続き、日帰りプチ・トリップの写真です。High Falls State Parkに行きました。High Fallsの名は、アトランタ以南で最も高い滝(41m)だからかと思いますが、アトランタ以南って、範囲としては狭いと思うんですけど、突っ込まないでおきましょう。Ocumulgee川の支流、Towaliga川…どっちも、どう発音するのか諸説ありですが、私にはちゃんと発音できないことは確信できる(`・ω・´) キリッ✧(←もっと恥じて)をダムで堰止めた湖と、ジョージア州中部では最大の滝があります。この地域は19世紀には推力を利用した製粉所や綿繰り工場で栄えましたが、鉄道がバイパスしてからは廃れて、1880年代にはゴーストタウンと化していました。今も、水車小屋の遺跡や古い橋の一部が残っています。また、下流には廃墟となった発電所の跡も。滝、廃墟、ゴーストタウン、自然遊歩道と、私の好物ワードが並んでいますよv

 自然公園に行くと、必ず最初に訪れるのはビジターセンターです。ちょっとした博物館やギフトショップが併設されている所もありますし、たいてい情報ブースとお手洗いがあります。まずは情報と公園のマップを仕入れ、どのトレイルを歩くか計画を立てるのです。今回は、川岸に沿った滝の景観を楽しめる「Falls View Trail」と、廃墟となった発電所の建物や水路跡へ向かう「Historic Trail」へ。実に分かりやすいネーミングです。

 車を停めて、ボート遊びで賑わう貯水湖を眺めながら揚げ物ランチでお腹を満たし、やや胸焼け気味でダム横のエリアで水車小屋の遺跡や洪水で流された橋の名残で記念撮影の後、まずはダム湖から道路を渡って、下流へと下がっていく、Historic Trailへ。紅葉が美しいけど、盛りは過ぎており、もう少し早かったらゴージャスだったかも?

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ダムと水車小屋の名残

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水車小屋別角度。日光強すぎて白飛びしちゃった

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発電所跡。高圧電流中言って看板があって中は入れません。中見たい~

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水路

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ここまで来ると川の流れもゆったりとして、釣人が糸を垂れていました
釣れるのはバスやブルーギル、ナマズ等だそうです。


 直線ルートなので、同じ道を、今度は上流に向かって戻ってきたら、橋を渡って対岸、8の字型トレイル、「Falls View Trail」へ。

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結構な水量で迫力あります。iPhoneのLive Photoがアップできたらいいのになぁ

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ボールが所在なく浮いていた

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高さより、幅と長さの広さが印象的

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これは対岸側(さっきのHistoric Trail)から滝を見たとこ

 トレイルは乾いた落ち葉で滑りやすく、岩や木の根で凸凹が落ち葉で覆われて見えない所も多いので注意が必要です。滝を楽しむだけなら、8の字の最初の丸だけで十分ですが、二つ目のループまで行くと、アップダウンが険しくなりました。川沿いからは離れるので、トレイルの目印だけが頼りですが、途中で数か所、迷うような分かれ道がありました。この間行った州立公園もそうだったけど、地図が結構でたらめなんだよね~ww まぁ、無いよりはいいんだけど、信じちゃいけない公式地図って、どうなの…orz

 帰り道、犬は疲れて助手席で爆睡。私も、Ravくん(愛車はMY2011のRav 4なので、愛称がRavくん)、自動運転して~って思った。運転が得意じゃないので疲れちゃったけど、楽しい週末でしたv
 
 

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フライド・グリーン・トマト

 世界では先週も本当に色々な事がありました。バイデン大統領と習国家議席が対談したり、アイスランドで火山が爆発しかけてたり、羽生選手が離婚したり、アルゼンチンで大統領選挙があったり、スペースXのテストロケットが爆発したり、ガザでは人が死に続け、池田大作氏が死に、トランプは相変わらず共和党大統領候補のトップで、連邦は変なつなぎ予算を通し、今年は史上最も暑いことが確認されました。10年後、20年後にコロナという世界的事変に続く数年間を私たちはどのように振り返り、評価するのでしょうか?

  イスラエル支持派かパレスティナ支持派で世界が分断しているといいますが、私的には、どちらにも肩入れする理由がない。でも、病院を攻撃したのはハマスの隠れ家だからと言い訳するなら、せめて31人の死に瀕した新生児はじめ、患者たちをイスラエル側の病院に移転させて治療するってポーズだけでも申入れるとかすればいいのに、って思います。パレスティナ側は、そんなことして患者やその家族を人質に取るつもりかとか、子供達を返さずユダヤ人にするつもりか、とかで断るのが明らかだとしても、もうイスラエルは世界に対して開き直ってる、弁解する気すらないんだな、と、思っちゃう… と、また長くなりそうで、ここでやめときますが、今日のテーマは、お出かけして楽しかったよ!報告。

 南部に引越してきて2か月、ついに南部らしい街に観光に出かけました。行先は、映画「フライド・グリーン・トマト」の撮影現場となったジョージア州中部の町、ジュリエット。映画(原作)の舞台はアラバマなのですが、ほぼゴーストタウンになっていたジュリエットが物語の撮影場所に選ばれ、映画の公開から30年以上を経た今も、多くの人が訪れます。

 街の人口は2020年の国勢調査によれば290人、短いメインストリートに古い建物を利用したお土産屋さんやアンティーク・ショップが数軒と、劇中で主人公の一人、イジーが親友(原作では同性愛関係)ルースと一緒に経営していた「ホイッスル・ストップ・カフェ(Whistle Stop Cafe)」を撮影したカフェの建物が同名で経営しており、その名物はもちろん、まだ青いトマトに衣をつけてフライパンでカリッと焼いたフライド・グリーン・トマト。

 お天気のいい土曜日の今日、この1ブロックは多くの人で賑わっており、カフェの待ち時間は一時間弱だって!私は犬連れなのでテイクアウトですが30分ほど掛かるということで、その間に写真を撮ったり、お店をのぞいたり。どのお店も店番は高齢の白人でした。きっとオーナーでしょう。週末や休日以外はお客もないでしょうし、週末だけ趣味のお店を開く、のんびりした老後もいいのかも。

 かつては鉄道と川に沿い、大きな発電所を有した産業で栄えた街だったそうですが、今は映画の遺産だけで保っている。一本の映画が街を30年以上支え続けている。私の大好きな映画のうちの一つで、初見は作中の昔話の中の主人公、イジー(メアリー・スチュアート・マスターソンと同じ20代、二度目は現代の主人公、エヴリン(キャシー・ベイツが素晴らしい!)の40代。次は、昔話を聞かせるニニー(ジェシカ・タンディ)の年齢になったら観ようと思っていましたが、60代の今も見直さねば。以下写真:

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ほんの数百メートルのメインストリート

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映画のままの姿のホイッスル・ストップ・カフェ

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ホイッスル・ストップ・カフェ内部、その1

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カフェの内部、その2

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かわいいお店が並んでします。どこも映画関連のグッズが目玉

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南部では時間がゆったりと流れます


 名物に旨い物なし、といいますが、アペタイザーのフライド・グリーン・トマトは外はカリッ、中はとろーり、普通においしかったです。メインの南部風フライドチキンにはコーンブレッドとフライド・オクラ、スイートポテトのフライが付合せ。揚物三昧です。みんな美味しかったけど、やっぱ観光価格でお高いわ。来た、見た、食った!で、ジョージアにおける「やりたいことリスト」を一つチェックで満足したんで、多分、次はない。

 ただし、このために2時間運転したのではなく、実は目当ては近くにある州立公園なのです。お持帰りなのは、犬連れなのと、お弁当にして公園でピクニックのためでした。途中、曲がりそこなったり、通り過ぎたりしたけど、無事、ランチが冷え切らないうちにHigh Falls State Parkに到着。それは、また明日に…


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怨嗟を断ち切ることは不可能なのか

 ロシアのウクライナ侵攻も1年を過ぎて旬が過ぎ、今に、未だ多くの民間人が犠牲になり続けているのに「そういや、まだやってたねー」なシリアの内戦のように隅にやられそうだし、スーダンでの武力衝突も注目されない中、ただ今、ガザに世界が絶賛注目中。ガザでの民間人の犠牲が伝えられるにつれ、パレスティナ擁護の声も高まり、さすがの国連も、ええ加減にせぇ!と言ってますが、ネタニヤフには馬耳東風。卑怯なハマスが民間人を人間の盾にしていると批判しても、お構いなしに攻撃してるんで盾になってない…

 そんな中で、世界各地でデモが多発していますが、なぜデモを反イスラエル、親イスラエルに分けてしまうのか、どちらも根本は反戦争、反暴力、子供たちや市民を守ろうというデモなんじゃないかと思います。頭が花畑だと言われれば、その通りで、自分でも否定できませんが、イスラエルとパレスティナ、どっちでも、両方とも子供たちを含む市民を、人間を護ることを最優先とし、イデオロギーも政治も関係なく、何でもいいから国際機関や政府は何とかしろ!という抗議ではないのでしょうか。外野の視点で今のニュースや意見を読んでいると、ハマスではなくパレスティナを支持すると、自動的に反ユダヤ主義(antisemitism)と見なしているような気がする。アメリカのマスコミは一方的にイスラエル擁護で、これも不自然。

 イスラエル批判者の殆ども、ハマスの所業が極悪非道なのは否定しないだろうし、ユダヤ人全体を批判しているわけではないと思う。これに対し、「結局、みんなユダヤ人が嫌いなんだ、その不満が噴出したのだ」と解釈するのは、選民思考の自己憐憫にすぎず、ユダヤ人迫害の歴史観が薄まってユダヤへの寛容さが失われたなどという主張は、かえって反感を呼ぶだけでしょう。

 ハマスの行動によって、長らく臭いものにはフタだった、イスラエルがパレスチナ人の土地を取上げて入植活動をし、弾圧を続けてきたことが白日の下に晒され、世界の注意を喚起した。いくらイスラエル側がプロパガンダをし、ガザの様子を隠そうとしても、イスラエルのハマスへの報復が、ハマスだけではなく全く関係ない民間人にも及んでいることが世界中に拡散されてしまった。

 私も、ユダヤ人であるということだけで迫害され、虐殺された理不尽に驚き、様々な書物や映画で胃を締付けられる思いをしました。「アンネの日記」に涙しました。でも、同様に、ユダヤ人であるということだけで他の民族を迫害してもいいわけはないでしょう。そんな当たり前のことが77年の長きに渡って国際社会の了解のもとで続いてきた。その事実が広まったことによるパレスティナ擁護であり、そのことに対する反発なのではないでしょうか。「反ユダヤ主義は邪悪」は、「ユダヤ人には寛容であるべきだ」という意味ではない。

 各国政府は及び腰ですが、パレスティナの地に安寧をもたらすことが出来るとすれば、イスラエルのパレスティナに対する迫害を止めるしかない。更に言えば、イスラム教徒の怒りを鎮め、テロをやめさせる第一歩となるのも、ガザへの無慈悲な攻撃が露わにしているムスリムへの迫害を止めること、異なる民族、価値観、宗教に寛容であることでしょう。パレスティナ擁護を意図的にか無意識化は分らないけど、短絡的に「シオニズム」と片付けて、罪悪感を抱かせようなんてやってるうちは、怨嗟の蟻地獄からは抜けられない。

 国際社会が声を上げて、この連鎖を止めなくちゃ、と思うし、抗議活動の声の高まりに実行力のある政府や国際機関が応えてくれればよいけれど、その声を受け止め、リードするエンティティがない。イギリスは三枚舌の落とし前を付ける力なんぞ無く、アメリカもグダグダ、国連も骨抜き、国際圧力なんて空気抜け。悲観的になってしまうので、お花畑脳にでもならないと、やってられん… 

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同じように考えている人がいるのは嬉しい


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NYCのホテルに半世紀、一人で住んでいた日本人女性の話

 久々に、ラジオで聴いた話ネタ。NYC、マンハッタンの中心街にあるベルヴェデーレ ホテルに、たった一人で半世紀近くも住んでいた日本人女性のお話。「How one NYC hotel tenant spread kindness for decades(ある一人のNYCホテルの住民が何十年も広げた優しさ)」は、ここで聴けます。その女性の名前は、ハセガワヒサコさん。

 ベルヴェデーレ ホテルは、タイムズスクエアに近いシアター街に位置する、1930年代築の歴史的な高級ホテルです。アメリカではホテル住まいというのは珍しくなく、同じホテルに何十年も住んでいる人達がいて、ホテルが簡易アパートを兼ねていることも多いのです。その多くは安いモーテルですが、ベルヴェデーレ ホテルのような高級ホテルでも、古いホテルには昔の安い料金のまま住み続けている人もいる。

 アメリカの大家と店子の関係は、州の法律によって大きく異なりますが、NY州には強力な居住者保護法があり、レントスタビライズに分類されるアパートは、賃料水準に関係なく維持される家賃凍結型。NYのアパート賃貸料のとんでもない高額ぶりや値上げのエグさは日本でもしばしば話題になりますが、そちらは自由市場型のレントコントロール・タイプ。2019年に賃貸法が改正され、元から店子の権利が強く、大昔から住んでいる店子を追出すのは至難の業のNY州で、更に保護が強化されました。だから一等地のアパートやホテルに何十年も住んでいるお年寄りがいるのです。このベルヴェデーレ ホテルにも、そんな居住者が何十人もいるのだとか。

 208号室に住むハセガワヒサコさんも、そんな一人でした。常に朗らかで、誰に対しても親切で挨拶を忘れなかった。そして、小さな親切に対し、とても手の込んだ美しい手書きのカードを渡した。このホテルで22年間ベルボーイをしているジェリーさんは、毎月、家賃の領収書を渡すと、翌日にはカードが机の上に載っていたそうです。

 彼女は常に一人で、そして幸せそうだった。向かいの207号室に今も住むレネーさんは、夜に自室でピアノを弾くのですが、普通、夜にホテルでもアパートでも、向かいでピアノ弾かれたら迷惑だと思うのですが、ヒサコさんは、「昨夜はピアノを弾いてたわね。とても素敵だわ」と、お礼を言ったそうな。


 2016年のある朝、ヒサコさんが降りてこないことに気付いたジェリーさんが部屋を確かめさせたら、彼女はベッドから落ちて亡くなっていたそうです。ホテルの誰も彼女の家族も友人も何も知らなかった。番組を作成したラジオ局が調べても、やはり、彼女の情報は殆ど無く、1934年生まれで1970年代に渡米したのだろうということだけ。彼女は、ニューヨーク市営の共同墓地であるハート島の無縁墓に眠っているそうです。

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ハート島。白い棒は墓標



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その言葉は禁句

 この呪文を口にすると、問責決議案にかけられたり、解任されたり、辞任に追い込まれたりします。その言葉とは「川から海まで」。その由来は、アラファト議長下でパレスチナ解放機構 (PLO)が、ヨルダン川から地中海まで広がる単一国家の設立を求めたスローガンから。パレスティナの自治権と自由を訴えるこのスローガンが、ハマス支持主張であると解釈されて、イギリスでは労働党のマクドナルド議員は、この言葉を使ったことで除名処分になり、公職から解任されました。米議会唯一のパレスティナ系議員、タリーブ下院議員には問責決議が可決。

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 アメリカの大手弁護士事務所は連名でイスラエル批判を許した大学の卒業生は雇わないと表明し、同じ理由で、著名な富豪投資家や企業トップも、パレスティナに同情的で、イスラエルの責任を問う文書の署名した学生の氏名公表を求めたり。アメリカでも、若い世代を中心に、ガザの人々を救えと訴えるデモが広がっていますが、ニューヨーク知事が国連前でのパレスティナ支持デモを批判したり、物凄く一方的に変なことになってると私には思えます。

 そんな中、米国のユダヤ系の作家やジャーナリスト、編集者、アーティストらがイスラエル政府を批判し、「停戦」と「占領の終結」を求める公開書簡に署名しました。その全文(英語)、(A Dangerous Conflation: An open letter from Jewish writers(危険な混同:ユダヤ人著述家からのオープン・レター)の、延々と続く署名者のリストに驚かされます。私達、ユダヤ人の作家、芸術家、活動家は、イスラエルに対する批判は全て反ユダヤ的であるという論調を否定したいという強い論調で始まり、「イスラエルを批判する=反ユダヤ主義」が、パレスティナ主権を否定し、「イスラエルの責任や占領という致命的な現実を曖昧にしている」としています。もっともだ、と、多くが内心で頷くでょうが、それを表に出したら一斉放火が浴びせられる昨今の状況下、ユダヤ人自らが声を上げたことの意義は大きい。

 イスラエル国内ではネタニヤフ退任を求めるデモが広がっているそうです。こちらは、ハマスの急襲を許し、未だ危機下にある事への安全対策の不備への不満の噴出だそうですが、国内でも反発されているネタニヤフを批判したら、なぜか反ユダヤに結び付けられるのもおかしい。腫物状態で、不可触らしい。イスラエル批判を反ユダヤ主義とみなして非難するプロパガンダは、長年に渡って実に有効な戦術でした。

 時折しも、水晶の夜85周年記念だとかで、デジタル化された資料が大々的に宣伝(?)されている。オラオラ、お前ら、わしらがこんな可哀そうな目に遭ってるのに無視してたやろ!って、思い返させるのに一役、というのは被害妄想が過ぎるかもしれませんが、仕掛けたのはハマスの方が先だからと、パレスティナを爆撃し続け、一般人を屠り続けるイスラエルを批判できない世界状況は異常です。

 先の公開書簡は、「反ユダヤ主義の痛ましい歴史とユダヤ教の聖典の教訓があるからこそ、私たちはパレスチナ人の尊厳と主権を主張する」としています。これ以上の正論があるでしょうか?そして、個人的には、日本には、双方に危害を加えた過去もなし、加えられたこともない。キリスト教国でもイスラムでもないんだから、蚊帳の外にいてほしいって思ってる。原爆落とされて酷い目に遭ったから、俺んちも核持って近隣国を脅してやるぜ、ではなく、酷い目に遭ったからこそ、世界中の何処でも何人をも、その脅威に晒されるべきではないという立場を取ってきた日本です。その精神はとても尊い。変に一方に肩入れすべきじゃないし、口も出さんがええ。日本の外交関係の皆さん、難しい局面ですが巧く綱渡りを成功させてください。



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アメリカ生活も30年超え、NY、MA、DC、TX,CO、CA、OHを経て、今は南部のジョージアに犬猫と住んでいる普通のおばさん。蚊と蚤とトランプ一味以外の生き物が好き。

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